バングラデシュ滞在記まとめ。投資先・旅行先として、今ダッカは有望なのか?

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ASEANで事業を営む人にとっても、バングラデシュは注目している国のようで、年末年始に首都ダッカと第2の都市チッタゴンを訪問して以来、「バングラデシュどうだった?」と聞かれることが増えています。

(グロビジ!)では、バングラデシュに関する記事を計7回紹介しましたが、今回は総集編でまとめレポートをご紹介します。(より詳細を知りたい方は、各項の末で紹介している元記事をご参照下さい)

1. バングラデシュの基本データ (人口、GDP、経済成長率等)

ダッカ中央駅

人でごった返すダッカ中央駅

基礎データ:人口1億5,250万人、平均年齢23.5歳、一人当たりGDP1,033米ドル、経済成長率6.1%/年、新卒大学生の給与は6,500タカ(1万円)程度。首都ダッカの人口は1,181万人。人口密度世界一の国として知られる。
(出所:(グロビジ!)バングラデシュ TOPページ)

バングラデシュの国土面積は14万4000㎢で、日本の国土面積の約40%。そこに、1億5,200万人もの人々が暮らしています。シンガポールなどの都市国家を除けば、世界最高の人口密度を誇る国。街中には、平均年齢23.5歳というデータが示す通り、若者や子供を中心に人が溢れかえっています。

給与は年々向上していますが、新卒大学生なら約1.8万円から。但し、言語が出来たり、技能を持っている場合は格段に給与が跳ね上がることも多くあります。ワーカーは低賃金で、ホワイトカラーの給与が増加、そして富裕層はますます金持ちになるという所得の格差は、東南アジアと同様で、とどまる気配がありません。

GDPや経済成長率、インフレ率に関する考察は以下の記事でまとめています。ご参照ください。
人口密度世界一の国、バングラデシュの首都ダッカへ行ってきます。投資先として注目される3つの理由とは?

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2. 首都ダッカやチッタゴンなど、バングラデシュの物価について

タイとバングラデシュの物価比較

バングラデシュでは、新興国の定番とも言える物価の2極化現象が起こっています。ローカル向けの食べ物や交通インフラの価格は安く、外国人や富裕層向けのサービスは軽く10倍以上の値段設定がされています。ただ、お金を払えばそれなりにサービスは充実してますので、ミャンマーよりは格上と言えるでしょう。

また、預金金利は約6%前後ですが、外国人がバングラデシュ国内の銀行口座を開設することは出来ません。恐らく有力者の紹介やワイロなどの方法はあると思いますが、一般的にはビザや労働許可証の保有が前提です。

バングラデシュのCNGタクシー

ダッカやチッタゴンの中距離移動の定番、CNGタクシー

首都ダッカの交通インフラは、都市電車や地下鉄はなく、タクシー、CNG(天然ガス車タクシー)、リキシャー(人力車)のいずれかを選ぶことになります。どれも公共交通機関ではないため、外国人価格が存在します。相場を知るにも時間がかかりますので、近くにいるバングラデシュ人に相場を聞くなどの対応が有効でしょう。

また、国内地方都市への移動は鉄道網や長距離バス、バングラデシュ国内線の航空会社が存在します。ホテルや人件費、その他の物価については、以下のURLでご紹介しています。

バングラデシュに来ています。首都ダッカの物価や今後の可能性について。

ダッカの主要エリアについて

バングラデシュ・ダッカ市内図

ダッカ市内の各地区を一言で分類するのは難しいですが、赤色のボナニ・グルシャン・モティジールが主要ビジネス地区と言えます。外国企業はボナニやグルシャンに進出することが多く、モティジールには中央銀行や証券取引所があるなど金融の中心といったイメージでした。

ダッカの「グルシャン、ボナニ、モティジール」、アジア最貧国のビジネス街が大きく発展中。

一方で、青色はやや下町のような雰囲気の街です。オールドダッカやカウランバザールがそれで、空港のやや北にあるウッタラ地区は新興住宅地と言った趣。上の記事でも書きましたが、個人的には「もしバングラデシュに住むなら、ボナニに家を借りて、グルシャンへ通勤するのが理想」という感じです。

アジア最貧国バングラデシュの下町、オールドダッカ・カウランバザールを歩いてみた。

後述しますが、バングラデシュでは現時点でハルタル(ホルタル)という反政府デモも頻発しています。もしビジネスや視察旅行で行かれる場合は、必ず英語が通じる一定以上のランクのホテル利用を強くオススメします。

チッタゴン、バングラデシュ最大の港町について

チッタゴン港に停泊する船

バングラデシュ国内でもう一都市見るとするなら、最大の港を持つチッタゴンでしょう。人口350万人(うち日本人は100人程度)を抱える、国内第2の経済都市でもあります。

チッタゴンには、第2次世界大戦時に戦没した元傷病兵を祭る「日本人墓地」や、社会の教科書にも出てくる「船の墓場」などもあります。後者は観光地ではないため、現場に詳しいガイドを手配する必要がありますが、巨大な船を手作業で解体していく様は、他ではなかなか見られないでしょう。

チッタゴンの紹介に加え、バングラデシュの外貨持ち出し制限についても以下の記事で触れています。
バングラデシュ第2の経済を誇る、最大の港湾都市チッタゴン。

バングラデシュ渡航時の注意点について

ダッカのハルタル被害状況マップ

在ダッカ日本大使館発行のハルタル被害状況マップ(2015年1月)

この記事を書いている時点での最大のリスクは、ハルタル(ホルタル)です。先に触れた通り、反政府デモの一種で2015年に入り、火炎瓶の投擲(放火)や爆発事件などが頻発するようになりました。

少し古い資料ですが、2014年8月に発行されたフコク生命のレポートをご覧ください。

バングラデシュの悪しき文化の象徴とも言われる「ハルタル」の存在は、外資の進出を思い止まらせる要因となり得る。(中略) 政権与党に対する政治的な意図をもった街頭での抗議活動と言い換えると分かり易い。 (中略) ひとたびハルタルが宣言されると、街中の商店やガソリンスタンドが軒並み閉まってしまうなど、市民生活やビジネスに直接的な影響がでる。平和裏に抗議活動が展開されるのであればまだ良いが、通常は暴力を伴ったイベントと化し、街の治安が一気に悪化するから厄介である。

僕がダッカに入った2015年年始のホルタルは、さほど大きな騒ぎではなく、翌週から過激化しました。一般的にハルタルは前日までに、危険なエリアが通達されます。特にオールドダッカなどの観光地が危険とされています。渡航時や出張の際は、ホテル選びにも十分配慮しましょう。以下が中級高級ホテルのオススメです。

ザ・ウェスティン ダッカ (The Westin Dhaka)
ラディソンブルー ダッカ ウォーターガーデン(Radisson Blu Dhaka Water Garden)
パン パシフィック ショナルガオン ダッカ (Pan Pacific Sonargaon Dhaka)

その他の注意点として、「金・土が公休日、女性特有の問題、外国人価格、治安情報」なども、詳しくは以下の記事に書いていますので、ぜひご覧ください。
バングラデシュのハルタル(ホルタル)には要注意!ダッカ滞在で気をつけるべき6つのこと。

バングラデシュは投資先として有望なのか?

バングラデシュ・ダッカの路線バス

混雑する首都ダッカのローカルバス

バングラデシュ滞在記のまとめとして、記事タイトルの「今投資すべきか?訪問すべきか?」について考えました。もう既にお気づきかもしれませんが、現時点での結論は「NO」です。今飛び込むべきとは思えません。

理由はやはり「ハルタル」です。僕が滞在した時期もハルタルと重なり、街中でデモパレードをしていました。しかし現在は火炎瓶を投げるなど、事態は深刻化しているようです。ホテルの従業員からも言われましたが、外出時に注意するのは当然で、現地の人でも指定エリアへの外出は極力控えます。

チッタゴンの裏通り

港湾都市チッタゴンの裏通り

バングラデシュは人口の割に、目ぼしい外資サービスがなく今後のポテンシャルは高いと僕は思います。一方で、かなりハイリスク・ハイリターンという点は否めません。ハルタルが頻発すれば、特に来客が売上に直結するサービス業は影響を受けるでしょう。縫製業でも労働力確保などの面で問題も加わってきます。

在バングラデシュ日本国大使館

正直、バングラデシュに住んだこともありませんが、今はアジア諸国を見まわしても、直感的にダッカやチッタゴンに飛び込むタイミングではないと思います(2015年2月時点)。治安も悪く視察のタイミングとしても、今はオススメしません。治安情報は、現地日本大使館のサイトに詳しく書かれてます。渡航前にぜひ参照ください!

追記;ダッカでの高架鉄道建設計画

三井住友建設とタイ・ゼネコン最大手、ダッカの高架鉄道受注 (出所:Newsclip.be)

2018年5月に報道された通り、三井住友建設とイタリアンタイ・デベロップメント(タイ企業)がダッカにてMRT6号線の建設を受注。竣工は相当先ですが、将来的に慢性化している渋滞の緩和に役立つかもしれません。不動産や地価という意味ではもちろんプラス。バングラデシュは今後もますます発展が続きそうです。

<こちらの記事も合わせてどうぞ!>

(グロビジ!) バングラデシュ
アジア・中東の鉄道網および高速道路計画。
【インタビュー】インドネシアで働く現地採用者に、ジャカルタ生活について聞いてみました。



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バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)元代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。バンコクのコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」をJV開発後、退任し日本に帰国。現在はウクライナ・モンゴル・ラオスなどの不動産事業を手掛ける。岡山県倉敷市出身。

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