ASEANにおける中国人民元の流通量や存在感が年々上昇

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流通量が年々拡大している中国・人民元。タイでも中国人観光客は増加の一途で、ロイターの記事でも2015年には812万人(前年比76.31%増)で過去最大に達すると報道されています。

私がミャンマーやカンボジアなどを訪れていても、中国人労働者や観光客は至る所に存在します。当然、貿易でも人民元の利用は増加していることでしょう。今日はバンコクポストの記事から、ASEANにおける中国・人民元の流通に関する記事を紹介します。

ASEANで人民元の存在感高まる、主要通貨との判断は尚早

chinese yuan 中国元(人民元)紙幣

「ASEAN加盟国での中国元評価の高まりは、中国人民元が主要通貨となることを指す訳ではない」と、経済学者らは述べた。

国際銀行間通信協会(SWIFT)によれば、2015年におけるシンガポールの国際決済は、香港向け国際送金分を除くと約22%が人民元建てであることを明らかにした。ASEAN地域における中国元の流通量が非常に伸びたことを示す結果だ。

人民元が国際的に取引される主要通貨となるには5年以上かかる

タイ最大手の石油化学製品製造会社であるPTT Global Chemical (PTTGC)の石油化学製品部門の最高業務執行責任者(COO)Patipan Sukorndhamanは、「中国元が国際的に取引される主要通貨となるには5年以上かかるだろう」と言う。

一方で氏は、人民元が中国に近いASEAN加盟国であるベトナム、カンボジア、ミャンマー、ラオスを含む国々で今後も流通するだろうと述べた。

中国でさえ人民元を貿易の通貨として利用していない現実

海外の販売業者に対する輸入品の支払いに、中国政府が元を使用する可能性があると見るアナリストもいる。しかし現段階では、中国でさえ中国元を使用した貿易を幅広く展開してない。

中国にポリマー販売する大手企業を展開し、中東から原油を仕入れるPTTGCのPatipan氏は、現時点で人民元が貿易通貨となる兆しは全く無いという。「中国元を貿易における通貨として使用するかは、相手取引先が同意するかによる」と氏は語った。

世界の主要通貨となるには、中国元の管理を放棄する必要性があるか?

Patipan氏は、中国政府が人民元を完全に管理しいつでも介入できる点を指摘し、これが貿易時のリスクと話す。中国元が世界の主要通貨として流通することを阻んでいる要因だと言える。

対照的に米ドルは完全な変動相場制で国際資本市場に左右される。Patipan氏は中国が人民元を二国間貿易で使用し始めるにはまだ数年かかるだろうと述べた。

人民元が主要通貨として流通するには10年以上を要する

前エネルギー副大臣でタマサート大学の著名な経済学者であるPraipol Koomsap氏も、中国元が貿易における主要通貨として流通するには10年以上を要するだろうとの見解を示した。人民元が米ドル、ユーロ、日本円と異なり市場原理に沿って変動しないことが主な理由だと氏は繰り返し述べる。

Praipol氏は中国政府が人民元の管理を行っていることがより広範囲での流通を阻んでおり、中国が今後流通量を押し上げるために他国に対して中国元で融資を提供しはじめるかもしれないと述べた。

(出所:The Bangkok Post “Yuan’s Asean rise does not signal global shift ” グロビジ!翻訳・要約)

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人民元の主要通貨入り、流通量の増加はなるか?

記事内にもありましたが、2015年8月の人民元切り下げなどもありまだ政府のコントロール下に置かれています。ご存知の方も多いと思いますが、中国では国外への送金規制なども他国以上に厳しく制限されています。

タイ不動産を販売する私の会社でも、台湾・香港など中華系の顧客が増加しています。一方で、大陸の中国人(個人)はさほど増加していません。一様に言われるのが、送金の困難さ。結局は政府の介入が影響しているようで、世界の主要通貨として流通量が増加するには、こうした介入を減らすことが必要でしょう。

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板野 雅由
バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。現在はバンコクにてコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」を開発中、日本国内でタイ不動産セミナーも開催しています。 1981年岡山県倉敷市出身、在タイ4年目。