ベトナム不動産における5つの注意点、買ってよい人・ダメな人

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ベトナム最大の経済都市ホーチミンに行ってきました。

現地ベトナムの不動産熱は非常に強く、日系企業の超巨大開発案件も好評を博しています。ベトナム不動産のマーケットについては素人ですが、海外不動産を扱うプロとしての感想を紹介します。

ベトナム不動産、コンドミニアム発売会の現場

日系上場企業による現地合弁新プロジェクト発売会で、コンドミニアムを販売している現場にお招きいただきました。写真の通り非常に盛況で、現地の方が続々と不動産を買い求めていきます。

コンドミニアムの立地は都心から車で30分、完全に現地実需層向けの立地。住宅街というより、大型ニュータウンという開発です。100㎡の住戸で価格は1,100万円程度、最安は50㎡強の住戸で600万円。バンコクで同種エリアの物件と比較すると、価格は3分の2程度でしょう。

新興国は一定の基盤が整うまでは需給が逼迫するが、今の時代はあっという間に供給過多になるもの。都心のど真ん中一等地もしくは、完全に実需向けの物件でなければ成功は難しいでしょう。そういう意味でも本物件は発売元が現地の合弁先としっかり商品企画を練り、発売したから成功したのです。

本物件も100㎡の住戸で約1,100万円と安いですが、外国人向けの物件ではありません。郊外で空き地が多いエリアなら、競合物件は増加し供給過多になりやすく、貸すに貸せない、売るに売れない状況に。自分で立地に納得して買うからこその、自己居住向け物件でした。

ホーチミンの世帯収入は年間約60万円程度?

ホーチミンの非製造業スタッフ一般職の平均月収は456USドル。タイ・バンコクの平均月収685USドルから見ると3分の2程度です。(月収出所:三菱東京UFJ アジア・オセアニア各国の賃金比較(2017年5月))

  • ホーチミン市人口:842.6万人
  • ホーチミン市人口密度:4,000 人/km²
  • ベトナム人口:9270万人

ホーチミンの月収に12を掛けると、年収5,472USドル(約60万円)。少し古い資料ですが、経済産業省が2016年3月に出したレポート(下記)を見ても、ほぼ相違ありません。

上の表を見ると、人口の約10%前後が富裕層といえますが、それでも大半の年収は400万円程度。年収の5倍相当の不動産を購入するとしても、上位10%の層で2,000万円程度が限界といえるでしょう。前述の平均年収・約60万円で考えると、300万円以上の物件は買うのが難しそう。

私が住むタイでも、年収約60万円なら100万~150万バーツ(約340~500万円)の物件を住宅ローンで買っています。ベトナムの融資状況は分かりませんが、タイだと融資してもらえるか本当にギリギリのライン。現地のベトナム人が買いやすいのは500万円以下の物件だと感じました。

 

ホーチミンの都市開発が進行、東側に妙味あり

ホーチミンの地下鉄計画図 (出所:Wikipedia ホーチミン地下鉄)

午後は現地の仲介会社にアポを取り、不動産事情をヒアリングしました。特に下記の理由でサイゴン川の東側にある2区など、ホーチミン市の東部がこれから熱くなりそう。一般市民の給与はバンコクの7割程度ですが、国民の若さや発展の余地を考えると今後10年は成長が続くでしょう。

  • 国際空港の移転計画
  • 地下鉄1号線の開通(但し2025年頃)

今は都心の1区に主要施設が集中していますが、バンコクも都心がシーロムからスクンビットに移ったように今後5年~10年でCBD(ビジネス中心区)が移転する可能性もあります。こうした新エリアは供給が多くなりがち(貸しにくい)ですが、キャピタルゲインを狙うなら面白いかもしれません。

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ベトナム不動産における5つの注意点

上記はホーチミン滞在中のツイートですが、まさにこの5点はベトナム不動産のリスクだと感じました。ホーチミンはこれから成長するし、キャピタルゲインはまず間違いなく得られるでしょう。ただ、下記の点に留意が必要です。

  1. 外国人はベトナム人名義の中古物件を買えない (外国人名義の物件しか買えない)
  2. 登記に約1年かかる(先に引渡しは受けられる)
  3. 外国人は所有期間が、証明書の発給日より50年と定められている
  4. インフラ整備に時間を要する。地下鉄1号線開業は2025年頃
  5. ドン安政策で、対米ドルでドンの価値は過去10年で約4割減

1の「外国人は中古物件を買えない」に関しては補足が必要でしょう。「幻冬舎GOLD ONLINE」の記事が解説していたので、引用し紹介しておきます。良い記事なので更に詳しく知りたい方はリンク先をお読みください。

➀中古物件でも外国人への転売可能なケースとは?

中古物件は原則的に外国人は購入できないが、外国人(外国人枠)が購入した物件に関しては、使用権期間を引き継いでの販売が可能。ただし、関係部局に申請後、許可を得た物件に限る。ベトナム人に転売することも可能。

➁不動産取引の仕組みがルール化されていない部分もあり、注意が必要

日本のように不動産売買の仕組みができていない。日本人同士であれば、日本の不動産取引システムを活かし、双方が納得する形をとることで、トラブル発生のリスクを抑えられる可能性が高いが、ベトナム人との売買取引の場合は、不動産取引に慣れている不動産業者か、弁護士を立ち会わせての対応が必要になる。

(出所:幻冬舎GOLD ONLINE “外国人としての「ベトナム不動産」購入時の留意点”)

誤解を恐れず言えば、セカンダリーマーケット(転売市場)が整備されていない上に、外国人による中古不動産の取得に制限があるのです。また、外国人に貸しやすい都心の物件を、転売で購入する現地ベトナム人は一握りでしょう。

さらに5の「ドン安政策」が最大のリスク。日本でもアベノミクスが円安誘導したように、ベトナムは以前から一貫したドン安政策。キャピタルゲインで価格が50%上がっても、為替で4割負ければ意味がありません。

ASEAN不動産投資は経済成長だけでなく為替政策の確認が重要!

 

ベトナム不動産を買ってよい人、ダメな人

「ベトナム不動産における注意点」の項で挙げたように、ベトナム・ホーチミンの不動産は海外不動産投資をはじめてする人向けではなく、リスクを理解し投資できる人向けの商品だと思います。

  •  外国人に貸せる一等地の物件を購入できる
  • インカムゲイン(賃料収入)を期待せず、数年待ってキャピタルゲイン(値上がり益)狙いの投資が出来る人
  • 現地で暮らすなど、現地通貨ドンを外貨に両替する必要の無い人

人口の増加や、平均年齢の若さ、今後はじまるインフラ整備など潜在力は十分で、恐らく今後少なくとも5年間は値上がりしていくと私は感じました。上記の条件いずれかを満たせる人にとっては、妙味がある事でしょう。

ベトナム不動産へ投資する場合、セカンダリマーケット(転売市場)や、登記移転を含めた実務的な法整備など「入口・運用・出口」戦略をしっかりと練ってから購入することをお勧めします。

※本記事は投資を勧誘するものではありません。投資の判断は、自己責任でおこなってください。価格等は2018年1月渡航時のデータです。


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板野 雅由
バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。現在はバンコクにてコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」を開発中、日本国内でタイ不動産セミナーも開催しています。 1981年岡山県倉敷市出身、在タイ5年目。