タイへの日系企業の進出が止まりません。帝国データバンクによると、2014年1月時点でタイへ進出済みの日系企業は3,924社。同社発行の資料では、まとめとして下記の解説がついていました。

2011 年の洪水に見舞われた後も、製造拠点としてのタイの魅力は健在で、製造業を中心に進出企業数は前回調査比 25.2%と大幅に増加していたことがわかった。製造拠点としてのタイの魅力とは、ASEANの一角であることもさることながら、80 年代にはすでに本格化していたという進出の歴史の長さにあるだろう。進出実績が増えることで産業集積が進み、現地でのサポート体制も整う。また、工業団地や電力などのインフラ整備や現地労働者の熟練も進む。こうして長年かけて培われてきた魅力は、1 度の災害や政情不安で損なわれるようなものではない。今後の人件費上昇は避けられないものの、それに応じて中間層の人口が増加し、自動車や家電などの需要は堅調に推移するだろう。今回のデモの長期化によって、一時的に損害が出たり進出が敬遠されたりすることもあるだろうが、同国にとって最大の貿易相手国である日本の立場は揺るがず、情勢の鎮静化とともに製造業を中心とした積極的な進出が続くとみられる。
(出所:帝国データバンク 『第2回 タイ進出企業の実態調査』)

そこで今日は、バンコクポストの記事より「ビジネスのしやすさランキング」についてご紹介します。

「ビジネスのしやすさランキング」タイは26位、ASEANでは第3位。
アセアンのビジネスのしやすさランキング(世界銀行)

ASEANのビジネスのしやすさランキング 出所:世界銀行

世界銀行が発表した「ビジネスのしやすさランキング」でタイは前年の28位から26位へと順位を上げた。ランキング上昇要因のひとつに、小規模商業用ビルの建築許認可のスピードが早いことと、世界銀行は理由を説明する。

世界銀行でポートフォリオマネジャーとして、カンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、タイの資産運用を手がけるConstantine Chikosi氏は、「『ビジネス白書 2015』でタイのランクは2位上がった。建設の許認可のみならず、電力インフラ、契約で少数株主も保護している点を評価した」と話す。

さらに同氏は、「タイは長期間にわたり、公共サービスの提供を改善に注力している。国外での商取引を促進したり、建設許可スピードが早いのも、意図的に改革を実施した結果だ”と語った。
(出所: Bangkok Post “Thailand’s business ranking up” 筆者翻訳・要約)

ASEANではシンガポールが世界第1位、最後のフロンティア・ミャンマーはビリから9番目。

シンガポール・マーライオン

ASEANではシンガポール(人口540万人)が、世界銀行の「ビジネスのしやすさランキング」第1位に君臨、マレーシア(人口2,995万人)も18位と好位置につけています。そこで、「タイはどうなのか?」ということを以下の指標を使って考えてみました。

  • ビジネスのしやすさランキング:26位
  • 名目GDP:30位
  • 一人当たり名目GDP:93位(5,675.80ドル)
  • 人口:20位(6,823万人)

  出所 : IMF 2013年のデータに基づく

数字を見ると、人口やビジネスのしやすさランキングは比較的上位ですが、タイの一人当たりGDPは93位と下位に甘んじていることが分かります。前向きに捉えれば、まだまだ成長余地はあるということでしょう。

マレーシアの一人当たりGDPが10,456ドルですから、タイがマレーシア程度まで追いつけば、人口の多さからしてもかなりの経済力を備えた国になるわけです。タイは政治の問題もありますが、ASEANの中心という地政学的メリットもあり、まだまだ成長するだろうと私は見ています。皆さんはどうお考えになりますか?

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