タイの相続税問題が遂に閣議で承認されました。僕はタイ不動産(コンドミニアム)の販売や仲介をしている関係上、こうした税制問題に敏感にならざるを得ません。日本でもそうですが、税制の変化は市場に大きく影響を及ぼします。
今日は、内閣を通過した相続税問題をバンコクポストの記事からご紹介します。
タイ軍政権による相続税法案が内閣を通過
タイの内閣は昨日、5,000万バーツ以上の遺産に対し10%を相続税として課す法案を承認した。法案は審議のための国家立法議会で審議され、タイ王室官報に掲載された90日後に有効となる。
課税は来年6月に施行される予定と、政府副報道官のSansern Kaewkamnerd少将は話す。同氏は10%の課税は、事前想定で検討された最大税率であるとも言及した。
副首相Wissanu Krea-ngam氏は、「昨日の閣議中、財務省はわずか5%を課税することを考えていた。」と話した。財務省はより詳細に正確な税率を研究する必要があると述べる。一方で、「内閣は土地や建物税制改革法案を議論しなかった」と、Sansern少将は状況を説明した。
新税は、政府が所得格差を狭くするために進めている施策の一つ。カシコン研究センターは、内閣の承認を歓迎。「タイの歴史ではじめて、政府が明確な期間内に法案を施行するため、大胆かつ具体的な動きをしている」と評価した。
タイの相続税率は、アメリカ(18-40%)、イギリス (40%)、日本(10-55%)、韓国(10-50%)、フィリピン(5-20%)などの国々と比較し低くなる見込み。
しかしながら、政府は社会的な格差を是正するため、教育や雇用の機会、金融関連教育などで改革を続けなければならない。
(出所: Bangkok Post “Inheritance tax draft bill green-lighted” 筆者翻訳・要約)
タイ不動産を保有する日本人にとって直接影響はない?
- 1,000万バーツを超える贈与に対し、5%の贈与税を課税
- 5,000万バーツを超える遺産に対し10%の相続税を課税
- (直系子孫以外が相続する場合)全相続財産に対し5~35%を個人所得税として累進課税
- 早ければ、2015年半ばから施行される
- 課税対象は住宅、土地、車両、債券、株式および預金などの金融資産
本日お会いさせていただいたタイ不動産を購入されるお客様からも、タイの相続税についてご質問をいただきました。タイはもともと固定資産税ゼロ、相続税ゼロというのが特徴でしたが、今回の法案通過を受け、今後タイ人には相続税の課税が始まる可能性が高くなっています。
一方、日本在住でタイ国内に不動産をお持ちの方には直接影響はありません。海外資産に対しても日本国内で相続税が課税されるためです。(詳しくは国際税務に強い税理士さんへご相談ください)
タイ不動産市場においては、相続税の導入は好影響をもたらすでしょう。日本も同様ですが、タイでも不動産は実勢価格の7掛け程度が評価額となります。つまり、不動産を所有すれば相続税評価額が減価されるということ。資産の一部を不動産に変えて所有しようと考えるタイ人も今後増えてくることでしょう。
【追記 2015/06/09】 相続税法案がタイの議会で可決されました
▼タイで初となる相続税導入が決定!ついにタイ人富裕層への課税がはじまる。
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