タイの電力事情、原発ゼロのまま再生エネルギーへの転換を目指す

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タイには原発があるのでしょうか?実際タイに居住していても、発電の方法について考えることは少ない事でしょう。

タイ政府も従来の化石燃料の利用から、自然に優しい再生エネルギーへの転換を目指した政策を推進しています。今日は、タイの電力事情について、『Bangkok Post』の記事を交えて紹介します。

新規ソーラーファーム、180億バーツの投資を生み出す

タイの太陽光発電事業における投資額は2016年に180億バーツに及ぶとみられ、低迷する経済を後押しする見込みだとタイのエネルギー規制当局が火曜日に述べた。

先週67のソーラーファームの共同事業者と上場企業数社がnational gridに対して281.32メガワット(MW)相当の太陽光発電を提供する権利を手に入れた。

Thailand solar farm

(写真)Bangchak Petroleum Plcが運用するソーラーファーム。同社は180億バーツ規模の再生可能エネルギー計画において成功を収めた企業の一つ。 出所:BCPG photo

アナリストらによれば、太陽光発電事業の動きは1年以上遅れてようやく動き出したが、南部地域におけるバイオマス等他の再生可能エネルギー源とともに、太陽光事業はタイが前進する重要な一歩となるとみられている。

今回、Global Power Synergy、Superblock、Bangchak Petroleum、Solartron等の企業が落札に成功した。

タイの発電は65%を天然ガスに依存、再生エネルギーへの転換を目指す

落札企業は120日以内に国家エネルギー当局と電力購入契約を締結し、2016年12月31日までに運用を開始する必要があると、エネルギー規制局所長兼報道担当であるViraphol Jirapraditkul氏は声明の中で述べた。

当局によれば、1ユニット当たり5.66バーツが買取価格で、企業は共同事業者らと収益分配することが25年契約で取り決められている。同計画は、2016年1月に2,768MWだった太陽光発電を、2036年までに6,000MWにまで引き上げたいという政府の動きの一つである。

タイでは発電の65%を天然ガスに依存しているが、今後20年間でこの割合を40%に引き下げ、再生可能エネルギーに重点的に取り組みたいと考えている。

(出所:The Bangkok Post “New solar farms seen generating B18bn investment” グロビジ!翻訳・要約)

※電力の買い取り価格は、2016年11月に4.12バーツ/kwに変更されました。(2017年5月追記)

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タイの電力事情、化石燃料利用率は75%。原発は設置の予定なし

Thai electoronicity出所: www.asiabiomass.jp

記事内にありますが、タイ王国ではまだ天然ガスによる発電が6割以上で、バイオマス(木質資源、下水汚泥などを利用)をはじめとする再生エネルギーの利用率は1割前後となっています。

日系企業はシャープ(ロッブリ県)や中部電力(ペチャブーンなど)等が地元企業と合弁でタイの電力事業に取り組んでいます。タイには原子力発電所はなく、原子力発電基盤準備委員会(NPIPC)を設置し検討が行われましたが、くしくも2011年の日本の原発事故を受け原発計画は先送りされています。

一方、民間企業には原子力発電所を開発中のタイ企業も存在します。上場企業のRATCHABURI ELECTRICITY GENERATING(証券コード:RATCH)が、中国広西省で原発を建設中。同企業は世界的進出も果たしており、日本で太陽光発電、ラオス・オーストラリアなどで火力発電所を所有しています。

バイオ燃料が普及するタイ、豊富なサトウキビ資源

thai sugar

タイは国策として固定価格買取制度(FIT)を2006年に導入し、国家石油ファンドからバイオ燃料には補助金が支給されています。補助金に加え、原料となるサトウキビも豊富。砂糖の輸出量はブラジルに次いで世界2位を誇り、日本にとって最大の砂糖輸入先国(出所:農業産業振興機構)となっています。

ガソリンよりもバイオ燃料が安く手に入るため、バイオエタノールの利用は全国的に進んでいます。その生産量は世界10位に入るところまで来ました。

タイの電気代

タイの電気代は、東京海上日動リスクコンサルティングのレポートによると「1kW あたりの電力料金はタイが US ドルベースで約 12 セント(約4バーツ ※筆者注)」。これは隣国カンボジアの約20セントよりも低く、日本の約18セント/1kW よりも低い金額となっています。

タイに居住すると、暑さからエアコンの利用が多くなり、電気代の安さを実感することは少ないかもしれません。サービスアパートなど建物が一括で電気代の支払代行を行うところでは、1ユニットあたり7~8バーツという電気代設定のところもあり割高になっています。


世界中で原発の是非が問われる中、タイ政府も電力を再生エネルギーへの転換を目指しています。一般家庭へのソーラーパネル設置などは、まだバンコク都内でも見かけませんが、政策次第で増えてくるのかもしれません。

タイの電力事情まとめ

  • タイは65%を天然ガス発電に依存、再生エネルギーに取組み今後20年間で40%に引下げ
  • タイには原子力発電所はない
  • 電力の買い取り価格は4.12バーツ/kw  (2017年5月時点)
  • 1kW あたりの電力料金はUS ドルで約 12 セント(出所:東京海上日動リスクコンサルティング)
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バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)元代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。バンコクのコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」をJV開発後、退任し日本に帰国。現在はウクライナ・モンゴル・ラオスなどの不動産事業を手掛ける。岡山県倉敷市出身。

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