
タイ不動産メルマガで連載していた「バンコク不動産エリア別投資ガイド」の後編をお届けします。
前回のスクンビットやシーロム周辺に続き、今回はラップラオやバンスーなど地下鉄MRT沿いを中心に特集しました。それでは、早速いってみましょう。
バンコク不動産エリア別投資ガイド~後編~
8.王宮・カオサン地区
王宮前広場とカオサン通り
王宮・カオサン地区は、低予算の旅行者が集まるカオサン、ワットポーなど観光スポットの多い王宮周辺を指す。後述する中華街ヤワラートから西に進んだ場所。
王宮周辺は省庁なども多く、タイの用途地域上は「タイ芸術や文化を奨励するための保全地区」とされ国内でも最も厳しい建設規制があるエリア。一方、知名度の高いカオサン周辺も基本的に観光客向けで、王宮とカオサンが位置するプラナコン区は、年間-4.6%と人口減少傾向にある。当然ながら、不動産投資を考えるべきエリアではない。
価格上昇率:☆☆ 賃貸の付きやすさ:☆☆
9.フアランポーン・ヤワラート地区
ヤワラートからシーロム方面を望む、フアランポーン駅前
フアランポーン・ヤワラート地区は、王宮地区にも近く、タイ国鉄中央駅フアランポーンがあることから、バンコクCBD(ビジネス中心街)の一角とされる。ヤワラート地区はバンコク最大の中華街として有名。
特にヤワラート周辺は未だに近代的建造物は少ないものの、公示地価の高い場所でバンコク中TOP3にランクインしている。一方で、高層開発がしにくい商業利用の用途地域が大半で、古い物件を除き高層コンドミニアムも存在しない。
王宮・カオサン地区同様、日本人によるコンドミニアム投資には向かない地区。近年はタイ人がレトロ・アンティーク嗜好を好みだしている向きもあり、古くからの建物をリノベーションし、商業利用するなら面白いかもしれない。
価格上昇率:☆☆☆ 賃貸の付きやすさ:☆☆
10.ラマ9世・ペチャブリ地区
MRTラマ9世駅前のGタワーとセントラル・ラマ9、マッカサン駅から見たラマ9世方面とアソーク方面
ラマ9世・ペチャブリ地区は、日系オフィスの集積するCBDアソークの北側。「MRTラマ9世駅周辺」では写真のGタワーやユニリーバ、Super Towerなど大型オフィスビルが続々着工し、副都心として期待されている。
「MRTペチャブリ駅」はスワンナプーム空港に行くエアポートリンク(ARL)マッカサン駅に連結、CBDだけでなく空港アクセスの良さも見逃せない。日本人の場合、駐在のような賃料の高い層は少なく現地採用者が多い。コンドミニアムを取得する場合、日本人テナントが期待しづらい点は要注意。
MRT沿いは元来タイ人中間所得層に人気だが、アッパーミドル・富裕層はBTSスクンビット線沿いを好む傾向にある。ラマ9世・ペチャブリ地区は建設ラッシュで住宅供給が多く、タイ人エージェントなども短期的には推奨しないエリアである。
価格上昇率:☆☆☆☆ 賃貸の付きやすさ:☆☆☆
11.ラチャダーピセーク地区
タイ文化センター駅前のAIA生命ビルとタイ証券取引所(SET)、ショッピングモールESPLANADE、MRTタイ文化センター駅、MRTフアイクワン駅
ラチャダーピセーク地区、ここでは便宜上、フアイクワン区内のラマ9世駅を除く「地下鉄4駅(タイ文化センター~ラチャダーピセーク駅)」について解説する。フアイクワン区は地下鉄開業に伴いアソークなどCBDに直結するベッドタウンとして、2000年以降の10年で人口が約9万人から16.85万人と倍近い伸びを示している住宅街である。
CBDから直結するという意味で同様のプラカノン・オンヌット地区との違いが写真3枚目に表れている。中国語表記の店が多く、スクンビット周辺とは対照的に中国人の多いエリア。タイ文化センター駅に中国大使館がある事も一つの要因であろう。このエリアの中華系は賃料予算が低くアパートを借りるケースが多い。余裕のある中華系はサトーン界隈を好む。
「タイ文化センター駅」はラマ9世駅同様に新CBDとして再開発が進み、2016年にはAIA生命の高層オフィスビルがオープンしたほか、タイ証券取引所(SET)がクイーンシリキット駅前から移転した。「フアイクワン駅以降」は住宅街。日本人居住者もいるが、数は少なく賃貸向けのエリアとは言えない。自己居住用や部屋を寝かす覚悟がある人に限りコンドミニアムの購入も良いだろう。
価格上昇率:☆☆☆ 賃貸の付きやすさ:☆☆
12. ラップラオ地区
ラップラオ通り、MRTラップラオ駅前の新設モール、ラップラオ通りのBIGC、MRTパホンヨーティン駅前
ラップラオ地区は前述した、ラチャダーピセーク駅のさらに北側。スクンビットに近いラマ9世地区がダウンタウン(都心部)であるのに対し、ミッドタウン(住宅地)に分類される。同じ住宅地であるオンヌット地区に比べると外国人は少なく、タイ人労働者が多く住む。
MRTブルーライン(地下鉄)沿いで駅近物件も多い一方、コンドミニアムの賃借人の大半を占める外国人は少なく賃貸投資向けとは言い難い。自己居住や空室リスクを考慮しない場合は購入も可。(この場合はキャピタルゲインを目的とした投資になる)
MRTラップラオ駅やMRTパフォンヨーティン駅は、チャトチャック区に位置する。チャトチャック区とラップラオ区の合計人口は約31万人(2000年)→40万人(2010年)と増加傾向にある。
価格上昇率:☆☆☆ 賃貸の付きやすさ:☆☆
13. ビクトリーモニュメント地区
BTSビクトリーモニュメント駅直結のモールなど、周辺には高層の建物は少ない
ビクトリーモニュメント地区は、バンコク最大の商業地サイアムから電車で3駅北。駅前に勝利記念塔があり、地方へ行く交通機関など交通の要所。BTS駅周辺にはビクトリーモール、センターワン、センチュリームービープラザなど商業施設が複数存在する。
BTSビクトリーモニュメント駅周辺はミッドタウン(住宅地)という位置づけで、外国人よりもタイ人居住者が多い。駅周辺の高層コンドミニアムは平米20万バーツ前後に達し、日本人になじみのあるスクンビット東部ならエカマイ駅に近い平米単価。外国人の少なさを考慮すると、価格の割に空室リスクが高いと言える。
ビクトリーモニュメント駅は隣接するパヤタイ駅同様に、ラチャティウィ区に位置する。区の人口は約12万人(2000年)→11万人(2010年)と、バンコクでは珍しく減少傾向にある。自己居住でも便利だが、デモなどが発生した際は標的になりやすい最有力候補なので注意が必要。スクンビット界隈に比べると英語もやや通じにくい。
価格上昇率:☆☆☆ 賃貸の付きやすさ:☆☆
14. バンスー地区
バンコク地域別投資ガイドの最後に紹介するのはバンスー地区。スクンビットから電車に約25分乗ると、大開発が行われているエリアへ到着する。周辺にはSCGのオフィスビルなどがあるが、目玉は新設される高速鉄道駅。Google Mapにあるように巨大な敷地が確保され、実際に着工している。
バンスー区はノンタブリ県・パトゥムタニ県に隣接。区の人口は開発の影響もあり減少しているが、隣接するチャトチャック区との合計では約37万人(2000年)→46.5万人(2010年)と人口増加傾向にある。
再開発に期待し投資する手もあるが、空室リスクも高く10年寝かせるつもりでの投資となる。将来的には東京都心から見た品川になる可能性があり、余裕資産があるなら土地を仕込むのも一手か。更に興味がある方は上記の記事を参照のこと。
価格上昇率:☆☆☆ 賃貸の付きやすさ:☆☆
バンコク不動産、投資の王道はBTSスクンビット線沿い
いかがでしたか?MRT沿いは日本人が投資用コンドミニアムを購入し投資する場合、空室リスクを必ず考えなければならないエリア。車利用の居住者が多くなるため、駅距離だけで判断できないが難しいところ。
バンコクにおける最も人気の路線は、BTSスクンビット線沿い。外国人である我々が不動産を買うのであれば、奇をてらわず王道と言える人気路線の人気駅周辺でコンドミニアムを取得すべき。
バンコクでも日本人に人気の高いスクンビット周辺やシーロムなどのエリア別投資ガイドは、前編でまとめています。上記をクリックして参照ください。
<こちらの記事も合わせてどうぞ!>
▼タイ不動産における住宅ローン問題
▼パタヤ不動産の需要と供給、価格について
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