バーツ安でバンコク都心部のコンドミニアムに対する外国からの需要が増加

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2015年秋からバーツ安が進んでいます。タイ投資委員会(BOI)もバーツ安政策に転換している事と、米国の金利引き上げも影響しています。

このバーツ安を受け、タイ不動産市場には海外からの投資が流入してきました。『The Nation』の記事からご紹介します。

ASEAN経済共同体とバーツ安がバンコクのコンドミニアムへの海外需要を牽引

Beatniq Thonglor

(写真)シンガポール、香港、台湾等で販売説明会が今後行われる予定のSC Asset Corpによるコンドミニアム計画、スクンビット32のBeatniqの全体像。同社では海外からの購買客を少なくとも全体の20%見込んでいる。

2016年初めに発足したASEAN経済共同体と継続的なバーツ安のおかげで、バンコク中心街(CBD:Central Business District)の中-高価格帯コンドミニアムに対する需要が強い。特にアジア諸国の外国投資家の注目が高まっている。

ASEAN経済共同体(AEC)の実現により、タイの不動産開発業者は特に中国、台湾、シンガポール、香港、中東等海外に対して、自社の住宅開発事業の販売説明会に積極的に名乗りをあげる機会を得た。Sansiri社長のSrettha Thavisin氏は特に500万バーツ以上の価格帯のコンドミニアムを購入したいと考える外国人顧客が増加していると言う。

2015年、Sansiri社では外国人顧客による事前販売額は35億バーツに上った。2016年の目標である420億バーツに対し、外国顧客に対する事前販売額は50億バーツに上ると見込んでいる。住宅開発事業者の外国人顧客の大半はシンガポール、日本、中国本土、マレーシア、香港、台湾などアジアからの顧客だとSrettha氏は言う。ヨーロッパや米国の顧客からの販売も今後見込んでいる。

どこよりも高級価格を安く

「バンコク中心街の高級コンドミニアムの価格は高いものの、多くのアジア経済圏のシンガポール、香港、台湾よりは安いのです」とSrettha氏は言う。

2016年にASEAN経済共同体が発足し、米ドルに対して33バーツから35.50-36バーツとバーツ安が進んでいることが、バンコク中心街のコンドミニアムに対する外国からの需要が急速に高まっている主な要因だ。

Park21 Phrongphong

スクンビット24沿いに建設中のコンドミニアム「Park24」

2015年にProud ResidencesからPark 24の306戸のコンドミニアムを購入するため23億バーツを投資した香港を拠点とするFulcrum Capitalの社長Frank Leung氏によれば、タイはASEAN諸国において一番投資を拡大している国だと言う。同社では香港、シンガポールや中国など他のアジア市場と比較してまだ価格が安い、特に住宅開発の分野で商機があると見込んでいる。

現在のバーツ安はタイの不動産市場に対する投資にも利益をもたらしていると氏は述べる。

ASEAN経済共同体の発足で投資増、外国人による住宅需要が増加か

2016年に発効するASEAN経済共同体は、外国人投資家にとってタイを玄関口として域内、特にCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)などアセアン諸国における投資を拡大するチャレンジの年となる。

タイはCLMV諸国への投資を拡大する外国人投資家にとって玄関口となる可能性を持ち合わせているが、これを受けてビジネスを展開するためにバンコクやCLMV諸国に近い場所への住居が必要となる、とPruksa Real Estate社長兼最高経営責任者のThongma Vijitpongpun氏は言う。

(出所: The Nation “AEC, weak baht drive foreign demand for Bangkok condos ” グロビジ!翻訳・要約)

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Thai_Property_seminar_2016.03

出所: ラ・アトレアジア(タイランド)  2016年3月タイ不動産セミナー資料

上記は先日開催したタイ不動産セミナーで使った資料の1ページ。2015年のタイ不動産の動きで最も顕著だったのは、中華系による購入の増加でした。今では、タイの開発業者が中国や香港、台湾で展示会やセミナーを行うのは当たり前になっています。

セールス増加の一因ともなったバーツ安について、東京三菱UFJ銀行もタイに関する月報で、下記のように言及していました。

8日に発表された米雇用統計に象徴されるように米経済は比較的堅調。早ければ次回利上げは3月にも実施と見込まれており、タイと米国の金利差拡大は予期せぬバーツ安を招く可能性があり、タイ当局は難しい舵取りを迫られることになろう。 (出所:東京三菱UFJ銀行『BTMU Thailand Monthly 2016年2月号)

実際に私が香港・台湾へ出張しエージェントと話している印象では、まだ現地ではタイ不動産の情報が少なく、大手ディベロッパーのプレビルド案件ばかりを買い漁っている感じがあります。一方、日本ではタイ不動産投資がここ数年でだいぶ普及してきたと思いますし、扱う業者数や日本語で手に入る情報の数も増加しています。仕入れ値、物件の運用、出口戦略の3点を意識した物件選びが鉄則です。

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バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)元代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。バンコクのコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」をJV開発後、退任し日本に帰国。現在はウクライナ・モンゴル・ラオスなどの不動産事業を手掛ける。岡山県倉敷市出身。

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