タイ国内に導入される予定の相続税と贈与税に関する最新情報が『バンコク・ポスト』紙で報道されました。
この法案が閣議決定されれば、タイの歴史上はじめて所得格差を撤廃するための税金が導入されることになります。プラユット司令官が主導する軍政権による政策ですが、タイ国内で権力を持つ王族や富裕層の反対を退けて法案を通せば、彼が歴史に残る人物になるのは間違いありません。
今日は『バンコク・ポスト』紙の報道をもとに、タイの相続税と贈与税についてご紹介します。
相続税と贈与税がタイで課税され始める?
タイの相続税・贈与税・個人所得税
直系の子孫に対し1,000万バーツを超える贈与に対し、5%の贈与税を課税する。5,000万バーツを超える遺産に対し10%の相続税が発生する。また、相続人が直系の子孫でない場合、相続財産に対して5~35%が個人所得税として徴収される。
贈与者が死亡している場合、相続財産を対象に10%の支払いが被相続人には要求される。一方、相続人が存命中なら5%の贈与税を徴収する、と財務省のSommai Phasee大臣は語った。なお、直系子孫の場合、5,000万バーツ未満の相続や1,000万バーツ未満の贈与に関しては、納税が免除される。
例えば、死亡した相続人が2億1000万バーツの遺産を残した場合、三人の子供がそれぞれ7,000万バーツを受け取る。それぞれの子供は、5,000万バーツの限度を超えた2000万に10%となる相続税200万バーツを支払わなければならない。
もし贈与者がまだ生存している場合、子供たちは1,000万バーツを差し引いた6000万バーツに5%の贈与税が課税され、それぞれ300万バーツを支払わなければならない。
租税回避を防止するために、受益者は全ての受益財産を合算し、1,000万バーツを超える額に対して、贈与税を年内に数回に分けて支払う必要がある。
相続·贈与税の法案は閣議で議論され、法案が承認された場合、国家立法議会(NLA)に転送され、王室官報で公表後に有効となる。予定通りなら2015年半ばより施行される予定だ。
財務省は、住宅、土地、車両、債券、株式および預金などの金融資産が課税対象で、ジュエリー、お守り(日本の骨董品同様、価値が高いものが存在する)や高級時計などの非登録された資産は除外した。また、指定された大学や財団に寄贈される資産は、税金の支払いが免除される見込み。
相続·贈与税は所得格差を減らすことを目的とした、タイ政府初の税金である。
(出所: Bangkok Post “Heir face 5-35% in tax levies“ 筆者翻訳・要約)
タイの相続税・贈与税まとめ!(2014年11月中旬時点)
- 1,000万バーツを超える贈与に対し、5%の贈与税を課税
- 5,000万バーツを超える遺産に対し10%の相続税を課税
- (直系子孫以外が相続する場合)全ての相続財産に対し5~35%を個人所得税として累進課税
- 早ければ、2015年半ばから施行される
- 課税対象は住宅、土地、車両、債券、株式および預金などの金融資産
タイの相続税導入に関する、個人的な見解
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相続税がタイで初めて導入されることで、今後タイの富裕層はいかに節税をしていくか考えはじめるようになるでしょう。私はタイのコンドミニアムを販売・賃貸仲介する会社を経営していますが、客観的に見ても日本と同じ節税対策が有効となるように考えています。
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バンコク・パタヤ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)
日本でもそうですが、不動産は実際の売買価格(時価)と土地局による評価額が異なるため、節税効果があります。日本でも人気のタワーマンション投資は、「狭い敷地に高層物件を建てる⇒部屋数が多いため、各部屋の保有面積が少ない⇒相続税評価額が低い」という構図で、相続対策の特効薬とも言われています。
タイ国内でも、反政府デモが終わり政治が安定してきたことから不動産投資への流れが強まっています。この背景に、かねてより取り沙汰されている相続税導入の話も影響を与えていることでしょう。また、今後この流れは相続税・贈与税導入法案の可決とともに加速していく可能性があります。
【追記 2015/6/9】下記の通り、相続税法案は議会にて可決されました!
▼タイで初となる相続税導入が決定!ついにタイ人富裕層への課税がはじまる。
<こちらの記事も合わせてどうぞ!>
▼【まとめ】タイ軍政府の高速鉄道・線路複線化など交通インフラ計画・最新版(2014年8月)
▼タイ、暫定首相にプラユット陸軍司令官が就任。タイの政治の今後はどうなる?
▼タイの相続税はこうなる!タイ不動産協会主催のセミナーより。


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