
タイ国内で2018年5月1日に改訂された「消費者保護法」が、実務レベルでも現地に浸透してきました。賃借人を保護する目的で施行された法律です。
タイの消費者保護法について、貸主(オーナー)と借主(賃借人)両方の側面から気を付けるべき点を解説します。
タイで賃貸借をする際に気を付けたい消費者保護法のルール
- 賃貸数が5ユニット以上の事業が対象
- 賃貸人が水道料金、電気料金等の公共料金への価格上乗を禁止
- 入居時の敷金と前払い家賃の上限は家賃の1カ月分。契約更新料の徴収は認めない
- 賃借人は30日以上前に通告すれば契約期間内でも退去することができる
今回2018年5月に改訂された消費者保護法でタイ不動産の賃貸借に関するのは主に上記の5か条。
当初は改正法が施行されたものの、実務レベルでは従前どおり敷金2か月分を受領する事例が多くありました。しかし、7月以降、タイの現地仲介企業など「入居時敷金を1か月」にする動きが出ています。
タイ不動産の貸主(個人オーナー)の注意点
- 5室以上の賃貸物件を持っている場合(大前提)
- 上記に該当する場合、敷金は最大1か月分までしか受領出来ない
- 賃借人から契約更新料を受領してはならない (但し、仲介業者からの請求には応じる必要あり)
- 30日前に退去通告を受けた場合、契約解除を拒否できない
今回の消費者保護法改正で影響を受けるのは、5室以上を保有するタイ不動産オーナー。
なお、上記はタイ不動産の個人オーナー向けの注意点です。法人大家さん向けの注意点は、サービスアパート等の経営法人が電気代や水道代を水増し請求しているケース。公共料金として電気公社や水道局から請求される金額を超える水増し請求は今回の改正で禁止となりました。
タイ不動産の借主(賃借人)の注意点
- 貸主を確認する(法人か個人オーナーか)
- 5戸以上あるサービスアパートや1棟アパートに入居する場合は敷金は1か月で良く、契約更新料は払わなくて良い
- 公共料金の請求額を確認する
借主側の注意点をざっと挙げましたが、借主からすると賃貸人(オーナー)の素性は正確に分かりにくい事もあります。
特にコンドミニアム(区分所有物件)を借りる場合、オーナーが5室未満しか保有していないと言えば、それ以上の詮索はできず敷金は2か月払う事となります。一方、5戸以上あるサービスアパートや一棟物アパートの入居時は、敷金1か月分で済む可能性もあります。契約更新料を支払う必要も無いと言えます。
しかし残念ながら、法律と実務は異なります。特にタイでは賃貸人よりも貸主が一般的に強く(これは日本と大きく異なる点です)、オーナーが提示する条件を拒否する場合は最悪、入居/更新出来ない可能性もあります。どうしても住みたい物件なら柔軟に対応する事を求められるケースもあるでしょう。
タイの改正消費者保護法のその他注意点
いかがでしたか?今回施行された改訂消費者保護法は、5戸以上保有する法人格以外にとっては曖昧な解釈が出来るタイらしい法律だな、というのが私の感想です。
タイ不動産の個人オーナーにとって、5戸以上の住戸を所有中でも、敷金受領額以外は特に影響はないでしょう。但し、タイ国内で保有する物件数が5部屋を超えてくると、業(ぎょう)と見なされ外国人事業法に抵触する可能性があります。この点に関しては専門家等にヒアリングしておく事が重要です。
※本記事はあくまで考察であり、本文を参照した結果、生じたいかなる損害に関しても責任は負いかねます。正確を期すためには、原本、もしくは関連法規を直接参照するようにしてください。
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