
タイ国境の地価が急上昇しています。アセアン経済共同体(AEC)の発足に伴い、タイの大手小売業者が続々とショッピングモールを開発し、周辺産業が活性化しているため。
英字新聞『The Nation』の記事より、タイ国境周辺の地価上昇や、小売店開発状況をご紹介します。
ASEAN経済共同体(AEC)の発足に伴い、タイ国境でショッピングモールが続々開業
今年末にアセアン経済共同体(AEC)が発足した後、タイに近隣諸国から買い物客がさらに訪れることを期待して、小売を行う不動産の開発業者らはタイの周辺国に隣接する形でショッピングセンターを続々とオープンさせる予定だ。
開発業者らは昨年以来、タイの近隣諸国近くの州や省に対する投資を拡大してきた。タイ有数のデパートチェーンであるセントラル・グループ(Central Group)は周辺国に隣接する州や省に6つのショッピングセンターやライフスタイルセンターをオープンした。
タイ国境の街アランヤプラテートからカンボジア国境へ伸びる線路 (筆者挿入)
セントラル・グループは昨年以降アセアン諸国における投資を拡大しており、ジャカルタにセントラル・ショッピングセンター、ハノイにロビンソン百貨店をそれぞれオープンさせている。
「AECが発足した後、アセアンにおけるビジネスチャンスがあると予見しています」とCentral GroupのTos Chirathivat最高経営責任者は語った。
バンコクを代表するショッピングモールの一角であるMBK(マーブンクロン)はカンチャナブリ、チェンライ、ノンカイ、ムクダハン、プラチンブリーを含む経済特区を持つ他の省や州における、小売店舗の出店計画の実現可能性を探る調査を行っている。
TMB銀行の調査部によれば、タイの国境貿易は2014年には2,290億バーツ(約7,700億円)相当に達し、2012年以来平均9.5%成長し続けている。
これは小売杯初業者にとって、特にカンボジア、ラオス、ミャンマーの国境に接する省や州の開発を推し進める大きな推進力となっている。これらの国の人々はタイ製の製品に対しての需要が大変大きい。
政府住宅銀行のReal Estate Information Centre(REIC)の調査によれば、小売ビジネスはターク(メーソート郡)、ソンクラー(サダオ郡)、ムクダハン、サケーオ(アランヤプラテート郡)、トラート、ナコーンパノム、カンチャナブリー、チェンライ、ノーンカーイ、ナラティワートの10の経済特区において急成長している。
タイ国内の戸建て住宅 (筆者挿入)
調査によればタークは住宅、商業ビル(特に小売り)の両方においてタイ国内・外国の投資家からの人気を集めている。ラオス国境のノーンカーイも地元タイとラオスからの買い物客からの要求にこたえ売り上げを立てることのできる、小売ビジネスに対する投資が増加した場所の一つだ。
REICの報告書によれば、ノンカイにはTesco Lotus(テスコロータス)が2店舗、Makro(マクロ)が1店舗ある。またTCC Land Groupは来年MM Mega MarketショッピングセンターとVviangライフスタイルモールを同県にオープンする予定だという。サケーオ県のアランヤプラテート郡も小売業を展開するにあたり人気のある場所だ。
10の経済特区において住居と商業両方の開発に対する根強い需要がある中で、2016-2019年に実施される新しい土地評価基準ではこれらの土地価格が上昇傾向を示している。
例えばタークの地価は今年と比較して42.65%、ムクダハンは38.12%、ノンカイは37.71%、ソンクラーは35%、カンチャナブリーは29.64%、チェンライは27.33%、サケーオは24.10%、ナラーティワートは1.82%上昇するとREICは報告した。
(出所: The Nation “More shopping centres in border provinces as AEC nears” グロビジ!翻訳・要約)
タイ北部への高速鉄道網も中央駅が決定
現在稼働中の国鉄バンスー駅、新駅は近郊にて建設中
交通インフラが今後5年~10年で格段に進化するタイでは、国境周辺へのアクセスは今後さらに良くなります。例えば、日本が請け負う高速鉄道のバンコク~チェンマイ線(全長672km)は、バンコク北郊のバンスー駅に中央駅が設置されます。
中国が請け負うバンコク~ノーンカーイ線や、ケンコーイ~マプタプット線はアユタヤ県のチェンラクノーイ駅が中央駅となる予定です。
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