タイの英字新聞『The Nation』が2016年のタイ不動産の見通しを報道しました。毎年恒例の企画で、2015年もインタビュー記事を掲載しています。
2016年、BTSに近い不動産物件が注目されています。中でも、タイ人購入者の関心の高い地域の首位にランクされたのはバンコク東部の「オンヌット」。オンヌットが選ばれた理由は、価格帯によるもの。早速、詳細を見てみましょう。
ディベロッパーは2016年タイ不動産市場は5~10%の成長を見込む
タイ国鉄の新中央駅を建設中のバンスー地区 (筆者挿入)
Pruksa Real Estateの社長兼最高経営責任者Thongma Vijitpongpun氏によれば、政府によるインフラ計画への投資のおかげでタイ国内、とりわけバンコクの不動産市場は来年5-10%成長する見込みだという。
「政府がインフラ計画に投資を始めればそれがきっかけとなり新しい土地が開発され、不動産会社は住宅計画の開発を行うことができます。不動産関連の企業にとってはバンコクから郊外へのびる新しいBTSに続く新しい地域への投資への挑戦を意味する」と氏は言う。
一方で鉄道の複線化、高速道路、10の新しいBTSのルート開設によりタイはASEAN地域における交通のハブとなる。これによりバンコク・地方両方において外国企業が他のASEAN諸国の玄関口としてのタイへの投資が高まり、タイで住宅を購入しようという需要が高まると見られている。
「タイの不動産市場は2016-2020年にかけて毎年平均で5-10%成長すると期待しています」と氏は話す。「私たちはタイ全土で新たな住宅開発に着手し、特に需要の強いBTS近くのプロジェクトを手がけます」と氏は答えた。
Supalaiの取締役副社長Tritecha Thanmatithum氏も来年不動産市場が5-10%成長すると確信している。政府の譲渡手数料やローン費用を削減する政策や、来年着手されるインフラ計画への投資のおかげだ。
Ananda Development 代表取締役社長もChanond Reunkitiya氏も5-10%の成長率に賛同する。同社は来年220億バーツ相当の10の住宅開発プロジェクトに着手する予定だ。
一方、不動産会社らはBTSに近い住宅への要求はまだまだ高まりつつあるという。
不動産仲介をおこなうPlus Propertyは、ダークグリーンラインやライトグリーンライン沿線地域のコンドミニアムの需要に関する調査結果を発表した。
報告によれば、購入者の75%が未だに何かしらの住宅不動産を保有していないものの、そのほとんどが通勤に大変便利であることからBTS スカイトレイン近くのコンドミニアムの建設計画に興味を持っていることが明らかとなった。ユニット当たり250万バーツが目標価格に設定されているオンヌット地域が引き続き購入者の関心の高い地域の首位にランクした。
Plus Property 社長の Poomipak Julmanichoti氏は、回答者の多くは社会人になって間もない若者でありながら、比較的経験のある25-35歳の人が多く、その大部分がBTSの駅の近くに住みたいと考えていると語った。
多くの購入者がバンコクの周辺地域の開発に興味を示している一方で、BTSの駅付近地域は通勤の便利さと、通勤時間が読めるという理由で未だに優先度が高い。
ほとんどの購入者がオフィスから9-10キロ、もしくは通勤時間が30分程度の場所に住みたいと考えているが、この場合BTSの駅からの理想的な距離は500メートル以内となる。タイ人の購入目標価格は250万バーツだが、300万~400万バーツの高値に上ることもある。最も人気のある広さは35-40㎡だ。
特に今回対象の75%の人々が住宅不動産を保有しておらず、全体の約半分の人々が郊外やアパートメントに住んでいる。この理由の一つとして、ほとんどのコンドミニアムの価格は彼らの予算をはるかに超えているという事実があり、つまりこの2つのBTS沿線のコンドミニアムの所有者のほとんどは通勤にはSkylineを利用していないということでもある。つまりこの市場にはまだ満たされていない需要が多くあるということだ。
ダークグリーンラインとライトグリーンラインのBTSの通勤客の行動や傾向をみるとコンドミニアムに対する需要は伸びていることがわかる。この種の不動産は様々なSkytrainの路線に沿ってバンコクの郊外地域に向かい、まだまだ成長する可能性があるとPoomipak氏は語った。
(出所: The Nation “Developers forecast 5-10% growth in property market in 2016” グロビジ!翻訳・要約)
オリジン・プロパティ社は2016年の不動産市場の成長率を10%~15%と予測 【追記】
バンコク郊外や隣県のサムットプラカーン県、工業団地の多いチョンブリ県で不動産開発を手掛けるORIGIN PROPERTY社は、2016年の不動産市場の成長率を10%~15%と予測するなど強気の見解を表明しています。Notting Hill Leam Chabang(ノッティングヒル・レムチャバン)などをはじめとする10棟の居住用物件開発を手掛ける予定と報道されています。
(出所: The Nation “Origin budgets Bt2.5 nb for land” グロビジ!翻訳・要約)
タイ不動産2016年の見通しインタビュー、内容まとめ
- タイ国内、とりわけバンコクの不動産市場は来年5-10%成長する見込み
- 鉄道の複線化、高速道路、バンコク都内で10の新路線開設により、タイは今後ASEAN地域の交通のハブに
- ASEAN諸国の玄関口としてのタイへの投資が高まり、タイで住宅を購入しようという需要が高まる
- 通勤に便利であることからBTS スカイトレイン近くのコンドミニアムへの関心が高い
- オンヌット地域が購入者の関心が高い地域の首位にランクイン
- BTSの駅付近地域は通勤の便利さと、通勤時間が読めるという理由で未だに優先度が高い
- タイ人の購入目標価格は250万バーツだが、300万~400万バーツの高値に上ることもある。最も人気の広さは35-40㎡
- BTSスクンビット線とシーロム線の通勤客の行動や傾向をみると、コンドミニアムに対する需要は伸びている
バンコクの新築コンドミニアムの物件価格は年々上昇しており、築浅中古物件の方が1割~2割ほど割安感があります。例を挙げるとアソークからトンローの駅近物件で、2010年以降築の中古コンドミニアム価格の平均が平米あたり17万バーツ(出所:ラ・アトレアジア)であるのに対し、新築の高層プロジェクトは平米25万バーツ近くに上ります。その価格差は2割以上。
従って、日本人がタイ不動産へ投資する場合は出口戦略も考慮し、アソーク~オンヌットの築浅物件で少なくとも平米あたり10万バーツ以上の物件が適格でしょう。安すぎる物件は、ここ半年で住宅ローンの却下率が高まっているためです。
▼BTSスクンビット線、南部の延伸部分は2017年から順次開業予定 (参考)
▼タイ不動産の登記料が0.01%に減税。時限立法で2016年4月まで(参考)
また、上記の通り、日本人に人気のBTSスクンビット線が延伸するほか、タイ政府による登記料減税の効果もあり、2016年初旬は不動産取引のチャンスで市場も活発に動くことが予測されています。
2015年度のタイ不動産市場の成長率実績 【追記】
2015年度のタイ全土の不動産住宅市場は6,200億バーツ(約2兆円)という市場価値で、2014年比で5%上昇した。バンコク都がうち3,300億バーツを占め、その他は地方都市だ。タイ政府が新たな交通システムに着手して以降、住宅市場においては新たな市場が登場した。住宅需要はバンコク中心部から、郊外へとシフトしている。都心からの移動が容易になりつつあるためだ。
(出所: The Nation “Real estate to gain from mass-transit” グロビジ!翻訳・要約)
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▼オンヌットマーケットが閉鎖。バンコク屈指の駅前屋台街が一掃された日。
▼タイ不動産の基礎まとめ
▼タイの中古コンドミニアムの可能性を探る!新築と中古物件の価格差が広がる理由とは?


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