
タイ人の給与相場を知っていますか?
タイ人の所得も経済成長で増加し、最低賃金も年々引き上げられています。様々な環境も影響し、毎年数%の昇給は当たり前。給与格差が日本以上に高いのも特徴です。タイの給与事情について紹介します。
バンコクで勤務するタイ人従業員の給与所得例
高架鉄道BTSで通勤するタイ人たち @ オンヌット駅
私の会社で採用しているタイ人従業員の一例
- タイ人マネージャー(総務)・・・約3.5万バーツ(約10万円)
- 新卒2年目(セールスアシスタント)・・・約2.3万バーツ(約7万円)
- 新卒1年目(大卒・英語スピーカー)・・・約1.6万バーツ(約5万円)
日本語スピーカーやブルーワーカー(肉体労働者)の場合
- ブルーワーカー(建設作業員、ウェイターなど)・・・1万バーツ前後(約3万円強)
- 新卒1年目(大卒・日本語検定2級)・・・約2万バーツ(約6万円強)
- 新卒1年目(大卒・日本語検定1級)・・・約3万バーツ(約10万円弱)
- 日本語検定1級で職務経験3年以上・・・約5万バーツ(約16万円)
- 日本語検定1級でマネージャ級・・・約10万バーツ(約32万円)
このようにブルーワーカー(肉体労働者)とホワイトカラーの間で給与格差があり、特定の言語力や職務経験が豊富でマネジメントのできる人材あれば更に高い給与をもらうことに。
当然、地方間での給与格差も存在します。各地域の所得差については、後述する「一世帯あたりの所得」の項を参照してください。続いて、最低賃金や失業率などを見ていきましょう。
タイの最低賃金は300~310バーツ
タイの最低賃金は2017年以降、県別に300バーツ~310バーツで設定されるようになり、2018年以降は再度下記の通り改訂されました。2017年時点では、上図のオレンジ色であるバンコク首都圏とプーケットが最高の310バーツ。タイ南部が給与が低いことが分かります。
2018年4月以降、タイでの最低賃金が再度改訂
2018年に入り、タイでの最低賃金が再度改訂される事に。バンコクでは1日325バーツ、プーケット・チョンブリ・ラヨーンの3件では1日330バーツが最低賃金となりました。
転職し給与を増やす「ジョブホッピング」
「ジョブホッピング」という言葉があります。文字通り、「職を転々とする」という意味ですが、なぜそのような言葉が出来るのでしょうか。
先の例を見ても、新卒給与は高くない反面、日本語1級(N1)取得者などは職務経験を積む度に倍々と増えるケースも存在します。とは言え、就職先でドラスティックに給料が上がるケースは珍しく、転職、つまりジョブホッピングをしながら給与を増加させるのです。転職率の低い日本では考えにくい事かもしれませんね。
タイの失業率は1.0%前後
直近10年で見てもタイの失業率は1%前後。ほぼ完全雇用に近い状態が続いています。つまり職を変えやすい環境であるとも言えるでしょう。日本企業が多く進出した2015年などは日本語人材は引く手あまたでした。
タイには世界各国から企業が進出しています。多言語人材や優秀な人材はどこも必要で、高い給与を払っても雇用したいのです。当然、才能のある人材は給与が増加し格差が生まれていったのです。
離職率を下げるための施策に各企業は奔走
低い失業率とジョブホッピングの習慣が、タイ人の転職率を高めています。企業は離職を押さえるため、定期昇給や福利厚生の充実に力を入れています。ある大手通信会社のように、月給は低くとも、フィットネスや厚生年金のような福利厚生を厚くしている企業も存在します。
在タイ日本人の給与相場
日本人の給与相場ですが、労働許可証が発行される場合は5万バーツ/月(約16万円)と決まっています。これは現地タイ人の雇用を守るためで、外国人を安く雇うなという事です。一方で、BOIという投資恩典を持つ企業ではもっと安く日本人を雇うケースも存在します。
また、駐在さんは当然待遇も日本並みですし、海外赴任手当などをもらってダブルインカムという方も少なくありません。しかし、最近は駐在を減らし育成したタイ人に職務を振り替えるという環境に転換する動きもあるようです。
今朝はバンコクの人材派遣会社社長と打合せであったが、やはり駐在さんは減っているそうな。良くも悪くもタイ人が育っており、マーケットもローカル向けが裾野が拡がっている。先日の日本食店の話ではないが、在タイ邦人だけに向けた事業では成り立たないだろう。
— 板野 雅由 @ Ukraine (@dexter4620) 2017年2月17日
タイ人の家計所得
終わりにタイの家計所得を見てみましょう。出典の表によると下記の通り。
- タイ全土の家計所得の平均……約2.7万バーツ(約10万円)程度
- バンコク首都圏の家計所得の平均……約4.1万バーツ(約13万円)
冒頭に書いたタイ人の給与例を見ると分かりますが、職務経験豊富な日本語検定1級保持者が月に10万バーツ稼ぐ一方で、家計所得はまだまだ低い事が分かります。(バンコクに住んでいると、かなり稼いでいるタイ人の友人も多いように思うのですがデータとは違います)
【追記】2017年のタイの家計所得について
タイの統計局が調査した2017年前期の結果によると、タイ人の家計所得は下記の通り。
- 世帯当たりの平均収入は月/26,973バーツ(2007年18,660バーツ)
- 世帯当たりの平均支出(住宅・土地購入など除く)は月/21,897バーツ(同14,500バーツ)
なお、地域別の家計収入や支出額等は、下記の記事に詳しく書かれています。
▼タイの世帯平均収入、月2万6973バーツ (Newsclip.be)
タイ人の物価感覚を知るのに便利な「10の法則」
「10の法則」という便利な指標を紹介して記事の終わりにしたいと思います。例えば、家計所得を10倍してみてください。地方の家庭なら27万、都心の家庭は41万で暮らしていることになります。
お気づきの方もいると思いますが、日本人の使う「円」で体感したい時にこの「10の法則」は便利です。日本人が安いと感じるタクシーも初乗り35バーツは350円。屋台料理40バーツも400円。コンビニ弁当の感覚ですね。「10の法則」、タイを語るうんちくとして使ってみてください(笑)
※下のプロフィールにある通り、私は人材関係の専門家ではありません。正確な給与相場等はJETROや専門家の方などにご確認をお願い致します。
<こちらの記事も合わせてどうぞ!>
▼タイの「少子高齢化」問題を考える。タイ経済は今後どうなるのか?
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