
新疆ウイグル自治区に行ってきます。首府ウルムチは様々な国と隣接し、シルクロードの要衝としてかつて大きく発展し今も多様な民族が暮らす場所。
ウイグルは中国国内でも経済発展が目覚ましいエリアで、インフラ整備が急速に行わる一方、弾圧などの民族問題が多い場所。そんな中国の辺境の地、新疆ウイグル自治区について紹介します。
新疆ウイグル自治区を視察する4つの理由
- 地下鉄第1号線が開通し今後も拡張予定(2018年10月25日開通)
- エネルギー資源の埋蔵量が豊富(天然ガスは中国の33%を占める)
- シルクロードに位置し多民族(20民族以上)
- ウイグル民族と漢民族の対立や監視社会
最も注目すべきは、交通インフラの発展。新疆ウイグル自治区には空港が20もあり、私もキルギスタンの視察時は、中国南方航空のウルムチ経由便を使う予定。特に2018年10月に開業したばかりの地下鉄に乗るのを楽しみにしてます。
豊富なエネルギー資源や新疆ウイグル自治区の立地も見逃せません。天然ガスが豊富に産出し、中国国内産出量の1/3を占めるほど。後述する「ウイグル民族と漢民族の対立や監視社会」は世界的にも注目されていますが、立地やポテンシャル的に中国政府も新疆ウイグル自治区を重要視しているのは間違いないでしょう。
新疆ウイグル自治区の基礎データ
新疆ウイグル自治区
首府: ウルムチ
通貨: 人民元
人口: 2181万 人 (2010年)
主要民族:ウイグル族(45%)
公用語:ウイグル語
主要宗教:イスラム教
概説: 新疆ウイグル自治区の面積165万㎢は中国の省・自治区の中で最大であり、中国全土の約1/6を占める(日本の約4.5倍)。ただし、面積の約4分の1は砂漠が占めており、これは中国の砂漠総面積の約3分の2に相当する。総人口は約1,900万人で、その3分の2は漢族以外の少数民族である。(出所:wikipedia)
新疆ウイグル自治区の公共交通機関
首府ウルムチでの主な交通手段は、下記の4つ。中国移動の定番、バス・タクシーに加え、ウルムチではBRT(専用レーン付きバス)や2018年10月に開業した地下鉄が存在します。バスやタクシーは中国語が話せないと利用が難しく、観光で行く場合はBRTと地下鉄での移動が良いでしょう。
- バス、タクシー
- ウルムチBRT
- ウルムチ地下鉄(2018年10月25日開業)
中国最西の地下鉄である。2014年に1号線を着工し、2018年10月25日に開業した。最終計画では7路線、総延長211.9kmに達する予定である。中国の地下鉄では初めて実名制乗車制度が導入された。(出所:wikipedia)
2018年11月現在、営業中のウルムチ地下鉄は1号線である「八楼駅 – 国際機場駅 (三屯碑駅まで延伸予定)」の26.5km。中国の長距離列車等にある実名制乗車制度(外国人はパスポートを提出)を採用。
新疆ウイグル自治区における中国政府の監視施策の一環ですが、今回の渡航で、外国人も気軽に地下鉄を利用できるのか調査したいと思います。
▼地下鉄乗車に実名制、身分証提示義務付けー新疆・ウルムチ (中国安全情報局)
新疆ウイグル自治区の治安・ビザについて
外務省発表の海外安全情報では、2018年11月現在、危険レベル1が発表されており、十分注意して下さいとのこと。
新疆ウイグル自治区では,2009年に区都ウルムチ等で発生した暴動により多数の死傷者を出しました。その後も,同自治区のカシュガル地区やホータン地区で無差別殺傷事件等が発生しており,2014年にはウルムチ市の駅前や市場(バザール)付近での無差別殺傷事件で多数の死傷者が出たほか,2015年にはアクス地区においてテロ集団による炭鉱襲撃により多数の死傷者が出ています。すべての事件が報道されていない可能性もあり,また,今後も不測の事態が発生する可能性は排除できないことから,引き続き注意を払う必要があります。 (出所:外務省 ※2018年11月17日)
そもそも警官だらけの中国ですが、それにしてもウルムチの治安当局密度は異様だ。まず派出所の数がバス停を上回っている。これは決して誇張ではありません。けたたましいサイレンと共に軽装甲車が通りを占領し、至る所に盾とヘルメットが用意された街。騒乱の再来への備えは万全です。 pic.twitter.com/3rxOAoxkCd
— たま (@fujifox1991) 2017年11月22日
ビザについてですが、日本人が新疆ウイグル自治区へ渡航する際、滞在期間が15日以内であればノービザで入国する事が可能です。
新疆ウイグル自治区の食事について
ウイグルの食文化は、オアシスの農耕と牧畜、およびトゥルク(トルコ)系民族の歴史が基盤になっている。特に、地理的にも隣接するウズベク人やカザフ人と共通した料理が多い。また、食材、調味料、調理法などに、回族や漢族からの影響も見ることができる。(出所:wikipedia)
シルクロードに位置する新疆ウイグル自治区は、様々な食材や調理法が伝えられ、ウイグル料理を始め様々な料理を楽しむ事が可能。ウイグル料理は小麦粉を使用した料理が多く、ナンや麺などが主食。メインで使用される食材は羊肉で、街中の屋台で串焼きが売られています。
そんなにそそられませんが、ウイグル料理も現地で試してみたいと思います。おすすめ料理は下記記事を参照の事。
▼新疆ウイグル自治区の中心地ウルムチのオススメ観光地とグルメを徹底解説! (得する旅、損する旅)
新疆ウイグル自治区の経済状況
2005年発表の政府工作報告によれば、新疆の2004年の全省生産総額(GDP)は、対前年比11.4%増の2,203億人民元である。また同年の外資導入額は2億米ドルとされている。エネルギー資源の影響でウルムチは一人当たりのGDPが43221元という内陸部の割にはGDPが高く、2020年には10000ドル以上は超える可能性がある。(出所:wikipedia)
経済面で注目すべきポイントは、新疆ではエネルギー資源の豊富さ。 石油と天然ガスの埋蔵量が豊富であり、これは中国全体の28%と33%を占めるほどでエネルギー資源が新疆の経済発展の中心となっている。
しかし、経済面よりも注目すべきは、新疆ウイグル自治区における監視社会でしょう。
ウイグル自治区における監視社会
他にも、街には数メートルごとにカメラ設置、旧市街に入るには地元民だけ身分証提示。撮影すると公安に怒られて写真を消されるから隠し撮り。1枚目は上手く身分証提示シーンが撮れた。こんなのおかしい。中国が常任理事国だからだろうが、人権侵害にも程があるし、もっと現状を知ってほしい。ひどい。 pic.twitter.com/h2AWJyBEUx
— やのゆー@トルコ🇹🇷 (@Yanou_disney) 2018年10月23日
各種メディアで報道されてますが、ムスリムの多い新疆ウイグル自治区では、中国の最新テクノロジーを駆使した監視社会が形成されていると言われています。やのゆー (@Yanou_disney)さんがTwitterやブログで現地の状況を紹介しています。
▼旅行者目線から見る新疆ウイグル自治区-前編- (World of Color)
中国北西部の新疆自治区に暮らすムスリム主体の少数民族ウイグル族にとって、逃げ隠れできる場所はどこにもない。監視対象の個人が自宅や職場から300メートル以上離れると、顔認識ソフトが自動的に当局に通報すると言われている。(出所:ロイター)
かつて訪れた雲南省や四川省のチベット自治州でも、激しい抑圧がされてましたが、ウイグルにおける「再教育キャンプ」収容者は12万人を数えるとロイターは紹介しています。現地は実際にどんな状況なのか?乗り継ぎのための短期間滞在ですが、出来るだけ現地の事情を見て来る予定です。
新疆ウイグル自治区の基礎データ・アクセス方法まとめ
- 中国に位置する為、日本人は入国ビザ不要(15日間滞在可能)
- 外務省発表の海外安全情報では危険レベル1。渡航時の騒乱に注意。
- 地下鉄の営業開始など、交通インフラ整備による今後の経済発展に注目
- 多民族で多くの文化に触れる事ができる、乗馬体験など
いかがでしたか?暗い話題になってしまった新疆ウイグル自治区ですが、雄大な自然が魅力で暖かい時期は乗馬体験なども可能。現地で日本語ツアーを提供するベルトラで訪問前に事前予約しておくのが便利でしょう。
今回は首府ウルムチの監視社会の実情や文化などを見てくる予定。やがて抑圧から解放され、人々が自由に暮らせる社会になるよう願っています。
<こちらの記事も合わせてどうぞ!>
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