世界一の人口を持つ都市圏、珠江デルタについて

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世界一の人口を誇る都市圏、珠江デルタを視察してきました。

これまで東京は「世界最大の都市圏」として知られていました。しかし、世界銀行のレポートによると2015年に2位へ陥落し、今では香港・マカオ・深セン・広州などを中心とする珠江デルタが世界一の都市圏と呼ばれています。

世界最大の人口を誇る都市圏、珠江デルタ

珠江デルタは人口4,200万人。香港・マカオ・深セン・広州などを中心に近郊の中山や東莞、恵州、珠海などを含みます。東京首都圏の人口が3,750万人で、珠江デルタが15%ほど人口が多いという事に。

香港やマカオを除いた地域は、中国の広東省。元々は広東人が暮らし、広東語が話される地域です。しかし、香港を中心とした経済発展で、広東省以外からの流入人口が急増しています。実数は4,200万人ではなく、5,000万人を超えるのではないかとも言われています。

世界有数の製造業の集積地として知られる。 (中略)珠江デルタ発展計画で2020年までにGDPが2兆6000億ドル、一人当たりのGDPが135000元まで引き上げる事を目標にしており、2000kmに及ぶ都市交通・地下鉄の建設が予定されている。 (出所:Wikipedia “珠江デルタ“)

引用によると「一人当たりのGDPが135,000元まで引き上げる事を目標に」とあり、米ドル換算すれば一人当たり20,000ドルに。これは台湾の一人当たりGDPとほぼ同様の数値で、実現すると仮定すれば2020年を目途に珠江デルタは急激な発展をしていく事になります。

珠江デルタの各都市の人口と人口密度

  • 香港 人口:723万人 人口密度:6,544人/平方km
  • マカオ 人口:64万人 人口密度:18,568人/平方km
  • 深セン 人口:1,322万人 人口密度:5,201人/平方km
  • 珠海 人口:158万人 人口密度:912人/平方km
  • 中山 人口:314万人 人口密度:1,299人/平方km
  • 広州 人口:1,270万人 人口密度:1,084 人/平方km
  • 東莞 人口:822万人 人口密度:データなし
  • 恵州 人口:460万人 人口密度:332人/平方km

現時点での珠江デルタの中心は人口規模を見ても香港、深セン、広州と言えるでしょう。しかし珠江デルタ全域で交通インフラが整備されており、各都市がベッドタウンとなる環境が整いつつあります。

次の項で、珠江デルタの交通インフラ計画について紹介します。

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珠江デルタの交通インフラ計画

出所:百度百科

1.港珠澳大橋(香港-マカオ/珠海を結ぶ橋):2018年10月完成

出所:香港特別行政区政府路政署

香港とマカオ/珠海を結ぶ港珠澳大橋。2018年10月23日に開通し、約40分での両岸の移動が可能に。香港・マカオ・珠海間でシャトルバスが24時間運航される予定。

一方で、コンクリート強度の偽装問題など中国らしいトラブルも発生しています。

2017年5月、橋のコンクリート強度の偽装の疑いが報道された。23日香港廉政公署は、コンクリートの品質検査に関して強度試験で不正を行ったとして、21人の容疑者を逮捕している。

香港特別行政区政府の建設監督部門は、橋の香港側部分の構造検査を行ったところ、異常は見られず断裂も発見できなかったと発表。橋の安全性は維持されているとして予定どおり残りの工事を進めるとしたが、問題のコンクリートが使われた場所の特定はできていないとのこと。(出所:wikipedia)

2.深中通道(深セン-中山を結ぶ橋):2022~24年頃完成予定

出所:百度百科

深センと中山市を結ぶのが深中通道。現在は湾を迂回する必要があり、所要時間の約2時間が深中通道の開通後は約30分に。これで中山市も深センへの通勤圏へ変貌します。

3.各都市を結ぶ地下鉄網:順次完成予定

出所:Wikipedia

さらに深センは16号線まで地下鉄が建設される予定。深センから網の目状に拡がり、東莞市や恵州市など珠江デルタの他の地域にまで到達します。各ラインの状況については下記サイトを参照のこと。

深圳地鉄規則建設

珠江デルタの特徴

  1. 急増中の人口流入
  2. 深センを中心とする交通インフラの充実
  3. 香港の金融、周辺各都市の製造などエリア自体に求心力がある

上記2点の特徴を備える珠江デルタは、世界一のGDPを誇る中国でも中長期的に伸びるエリア。知っておいて損はありません。

(写真上)恵州南駅と高速鉄道の車両、深セン北駅まで16.5元(270円)、所要34分

上に記したものは、珠江デルタ地域で計画中の交通インフラの一部ですが、既に香港と東莞、広州を結ぶ高速鉄道や、深センと恵州を結ぶ高速鉄道も開通済みです。

中国屈指のハイテク都市、深センでは便利なシェアサービスが多数

 

(写真上)深セン市内の自転車シェアサービス、Mobike。GPS管理で基本的にはどこに乗り捨てても良く、アプリ上で利用金額や使用可能な自転車の位置が把握できる。複数の会社があり30分0.5角(8円)~

※ちなみにシェアバイクの1年後の状態については、下記の記事で言及しています。

上海のキャッシュレス社会と芝麻信用(セサミ・クレジット)

他にも中国版Uberである滴滴(ディディ)もあります。こちらは言語や現地電話番号が必要で少し外国人への利用ハードルは高めかもしれません。

いかがでしたか?珠江デルタが世界最大の人口を持つ都市圏であることは意外と知られていませんが、特に深センなどは街全体がハイテク都市の様相を呈し、上のMobikeや滴滴(ディディ)のように便利なウェブサービスが多数存在します。

珠江デルタの不動産価格も急騰しています。例えば深センは地下鉄も整備され、人口は違えどバンコクの将来のように感じました。次回はタイ不動産と珠江デルタの不動産比較について書きます。

<こちらの記事も合わせてどうぞ!>

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バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)元代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。バンコクのコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」をJV開発後、退任し日本に帰国。現在はウクライナ・モンゴル・ラオスなどの不動産事業を手掛ける。岡山県倉敷市出身。

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