深センの物価、世界15位の人口を抱える都市物価は高騰中

Pocket

中国広東省の深圳(シンセン)に来ています。今年に入って2回目の渡航。3月に友人と深圳に行った際、広東省の地方都市もいくつか見ましたが、やはり深圳は他と違う活気があります。

shenzhen-houhai

例えば、深セン市後海(ホウハイ)。繁華街の羅湖(ルオフー)から、地下鉄で約1時間です。はじめは閑静な街を想像していましたが、意外なほど栄えています。

中国は行政先行でインフラや箱モノを先に作る傾向がありますが、ここはマンションを見上げても9割は入居してそうな雰囲気。作り物の活気ではありません。今日は深圳の物価を香港と比較しながら、ご紹介します。

移民都市・深圳。集落から世界15位の人口を抱える大都市へ。

shenzhen-houhai2

深センという街について、まずはご紹介しましょう。香港空港からは車や電車で約1時間程度。香港からすると、中国への玄関口とも言える都市です。

香港の新界と接し、経済特区に指定されている。同国屈指の世界都市であり、金融センターとしても高い重要性を持つ。2010年の近郊を含む都市的地域の人口は1,447万人であり、世界第15位である。2014年、アメリカのシンクタンクが公表したビジネス・人材・文化・政治などを対象とした総合的な世界都市ランキングにおいて、世界第73位の都市と評価されており、同国本土では北京市、上海市、広州市に次ぐ第4位であった  (出所:Wikipedia 『深セン市』)

Wikipediaによると2010年時点の人口は1,447万人。タイの隣国に人口700万人弱のラオスという国がありますが、一都市でラオスの倍以上のマーケットです。大阪・神戸・京都の人口が約1,600万人ですから、関西商圏に近い規模感と言えるでしょう。

スポンサードリンク

深センの物価を対岸の香港と比較してみた

深圳の物価と香港の物価比較

深圳で事務職として働く新卒大学生の給与は3,500元(約7万円)が相場。香港の半額で、タイ・バンコクより少し高い程度。賃金が更に低いショップ店員は、2,000元(約4万円)と事務職の半分程度。海外でよくある給与格差の典型です。

人件費は高騰が続いています。下の日経新聞記事に詳しく書かれていますが、2009年からわずか6年で人件費は倍増したそうです。状況は違うとはいえ、日本とは大きな違いですね。

中国、景気減速でも賃金増 深圳市での引き上げが全国波及へ (日本経済新聞)
深圳:一人当たりGDPが2.2万ドルに達し、台湾を超えた (CHINA NOW)

食費は街中の食堂で食べて10元(200円)程度。自助餐という出来合いのおかずを取る店なら、もう少し安く抑えられます。私が中国に通い始めた2010年頃と比べると外食費も倍近い価格になりました。

はじめて中国に行った2004年、上海のコンビニでさえ停電は当たり前でした。しかし、この10年で中国は大きく発展し、「失われた10年」と呼ばれる日本とは正反対に急成長したことが分かります。

深センの交通費は地下鉄で数駅程度なら2元(40円~)と手ごろな価格です。現地の友人とバスにも乗りましたが、バスなら3分の2程度。タクシーは公共交通機関に比べるとやや割高ですが、深圳市内のタクシーはメーターを使うドライバーが多いように感じました。

shenzhen-nanhai-qu-houhai-mantion

何よりも高いと感じるのが、不動産販売価格や賃料。下の写真は深圳市南山区蛇口の不動産屋です。販売価格は安いもので平米あたり70万円程度。東京都内なら大田区あたりと同等の価格。タイの首都バンコクなら繁華街の好物件が買える値段です。

shenzhen-property-price

賃料は外国人の多い蛇口周辺なら、最も安くて1,500元(3万円)から。平均値としては3,500元(7万円)程度。実際に現地中国人にヒアリングしたり、店頭で見た価格です。若者の給与と同程度の賃料ですから、日本なら賃料の平均値が15万円ぐらいするイメージ。一人暮らしはあきらめざるを得ないような高騰ぶりでした。

昨年の12月から、台湾・バングラデシュ・マレーシア・東京・香港・マカオ・深圳と各都市の不動産価格を見ていますが、香港だけではなく、深圳の不動産価格もバンコクより遥かに高くて驚きました。中国は人件費が高騰していると言えども、不動産価格や食費も値上がりを続けています。庶民の暮らしは大変でしょう。

香港不動産を見てきました。繁華街の旺角~太子は、こんなお部屋で賃料月5万円もしちゃうほど高い!
台湾・新北市の不動産を見てきました。台北郊外マンションの価格や利回りをご紹介します!

今回の海外視察をするまでは、バンコクも不動産価格が高騰してきたと感じていましたが、世界的に見ればまだまだバンコクの不動産は割安だと、最近は実感しています。アセアンの中心にあり、しかも首都バンコクの不動産はまだまだ成長余地があることでしょう!


橘玲の中国私論—世界投資見聞録
橘玲の中国私論 [Kindle版]

<こちらの記事も合わせてどうぞ!>

香港へ行ってきました。世界有数の人口密集地域、香港の物価を紹介します。
世界一の人口を持つ都市圏、珠江デルタについて
深圳市の蛇口で中国語学校へ。3万円で5日間の短期留学をしてきました!



(グロビジ!)TOPへ

Pocket

The following two tabs change content below.
バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)元代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。バンコクのコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」をJV開発後、退任し日本に帰国。現在はウクライナ・モンゴル・ラオスなどの不動産事業を手掛ける。岡山県倉敷市出身。

SNSでもご購読できます。

コメント

Comments are closed.