海外在住の非居住者がマイナンバー制度で困る5つのポイント

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マイナンバー(国民総背番号制)の通知が2016年から始まりました。マイナンバーの個人番号は2015年から配布が開始され、既に運用は始まっています。アメリカやドイツ等、同様の仕組みを取り入れている国も少なくありません。

このマイナンバー制度は国民の利便性向上のためでもあり、納税の強化を図って作られたもの。今日はタイ在住で非居住者でもある私が、海外在住だと困るマイナンバーの問題点についてご紹介します。

マイナンバーの配布が2015年10月から開始!

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マイナンバーとは、外国人を含む全ての日本在住者に対して発行される12ケタの個人番号。下記の3つを目的に導入されました。

  1. 行政の効率化
  2. 国民の利便性向上(書類手続等)
  3. 公平・公正な社会の実現(所得や他行政サービスの受給状況の把握が容易に)

運用も2015年10月から、日本国内に住民票を有する人(外国人を含む)にマイナンバーを通知。2016年1月以降に「個人番号カード」が交付され、実際の運用がスタートしています。

マイナンバーってどんな場合に利用するの?

my number Japan

2016年度以降、年金・雇用保険等の社会保障、納税等の行政手続き時にマイナンバーが必要に。使用するのは、市町村や年金事務所だけではありません。年末調整を行う勤務先、銀行、証券会社や保険会社にもマイナンバーを提出する必要が出てきます。概要は下記ページにて。

マイナちゃんのマイナンバー解説 (内閣官房)

日本政府のウェブサイトには、「国民の皆さんは法令で定められた手続のために、行政機関や民間企業などへのマイナンバーの告知が必要となります」と明記されています。年金の情報漏えい問題が過去話題になりましたが、情報保護を各企業でどう徹底するのかという課題も気になるところですね。

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日本在住者の収入の流れを把握するために用意しているのがマイナンバー制度。当然、確定申告の際にもマイナンバーの記載が求められます。また、法人の方にも、13ケタの法人番号が通知される予定(個人事業者の方は個人の番号を利用)。

申請等に必要な住民票や戸籍謄本等の添付書類が不要となり、役所での時間短縮につながる。この辺りがユーザーのメリットでしょうか。将来的には、年金の受給状況や預金口座の管理も行われる予定。納税強化や社会保障費徴収が目的なのは言うまでもありませんね。

アメリカの社会保障番号制度に見る事例

thai death tax start

アメリカでも「社会保障番号(SSN)」という名称で、マイナンバー制度が既に開始されています。名前・住所・納税状況・収入の状況がマイナンバーに紐づけられており、銀行口座開設やクレジットカード取得の際など、信用確認が必要な場面で提示が求められます。

データを悪用したなりすまし行為やストーカーといった被害も出ており、日本国内ではどのように対策するかという課題もあります。ちなみに、タイ国内では「バット・プラヤーチョン」という名前でIDカードが15歳以上の全国民に支給され国民総背番号制が既に導入されています。

それでは、ここからが本題です。海外在住の場合に困るマイナンバーの問題点を見ていきましょう。

海外在住者(非居住者)としてマイナンバー制度の気になるポイント

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マイナンバー制度は、国籍を問わず日本在住の全国民が持つ仕組みですが、海外在住者に対しては運用の開始が遅れる見込みです。海外在住とはいえ、日本国内でクレジットカードや証券口座開設など、マイナンバーが必要となる場面もきっとあることでしょう。

非居住者は自分の銀行口座あてに送金しても受け取れない?

実際にマイナンバーを持たない非居住者は海外からの送金を受け取れないという問題も出ています。例えば海外で得た賃金等の資産を日本にある自分の口座へ送金しようとしても、マイナンバーがない場合はほとんどの銀行で受け取りができません。稼いだ外貨を日本人が日本で使いたいと思うのは、国にとっても良いはずですが。

ブロガー・作家としても有名で現在はベトナム在住の大石哲之氏は、「海外居住者の送金についてまとめ」という記事で、下記のように言及しています。自分宛てに送金しても、マイナンバーを持っていない場合は受取不可のため、マイナンバーを持つ家族あてに送金する迂回送金という方法も紹介されています。非常に参考になる記事なので、ぜひ読んでみてください。

なお、銀行により対応がバラバラで、新生銀行は、マイナンバーなしでも現在のところOK。地方銀行などでは、マイナンバーなしでは受け付けない、など対応が分かれています。新生銀行も2018年までの経過処置ということで、それ意向はマイナンバーが必要とのこと。すべての銀行でNGとはなっていないのものの、NGの銀行も多いといえます。

では、どうすればいいのか?新生銀行に口座を開けばいいのか?ノーです。海外在住者は日本の銀行に新規口座を解説することはできませんので難しいです。 (出所:海外居住者の送金についてまとめ BLOGOS)

なお、内閣官房のマイナンバー紹介ページには、以下のように書かれています。

海外在住ですが、通知カードは送付されますか?
国外に滞在されている方などで、国内に住民票がない場合はマイナンバーが通知されません。 日本国内に転入し住民票が作成されれば、通知カードが送付されます。(2015年12月回答)
(出所:http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/faq2.html)

つまり、住民票を日本国内から抜いて住民税を払っていない海外在住者は、マイナンバーが取得できません。また、海外に転出し住民票が無くなった場合も、既存のマイナンバーは失効(※後日復活可能)するため、転出前に区役所や市役所等に確認したほうがよいでしょう。

追記:2018年5月、総務省が海外在住の日本人も、マイナンバーを使えるようにする方針を決めました。早ければ2019年後半から海外在住者もマイナンバーの利用が可能になります。

海外居住者がマイナンバー不所持で困りそうな5つのポイント

  • 海外からの送金受取、海外への送金
  • 確定申告
  • 銀行や証券会社の新規口座開設
  • 帰国時の労働収入や役員報酬、執筆料等の受け取り
  • クレジットカード作成

なお、マイナンバーとは関係ありませんが、海外居住者(非居住者)なら日本へ一時帰国した際に、消費税免税で買い物が可能です。詳しくは下記よりご覧ください。

日本の「非居住者」は消費税支払不要。帰国時は「免税」でお買い物できるよ!

非居住者でマイナンバー不所持の場合、記載義務はない

内閣官房のウェブサイトによると、”住民票を除票して海外に転出した人にはマイナンバーは付番されません。このため、この間にマイナンバーが必要となる手続きをしなければならない場合は、空欄で提出してください。マイナンバーがない人の場合、記載の義務はありません。”と記載があります。

確定申告など、役所関係へマイナンバー申告時は何とかなるでしょうが、問題は民間企業です。記載義務は無いといえ、新規に口座開設というのは無理難題のような気がしますが、どうでしょう?正直、非居住者にとってマイナンバーって不明瞭なところが多く、不安のタネじゃないかなと思います。

実はここ数年で、5,000万円以上の海外資産に申告義務を課す「海外財産調書制度」など、課税の網は知らないところで益々強化されています。同様に2015年7月から開始された「出国税」という税制も存在します。下記のリンクからご確認ください

「出国税」と「海外財産調書制度」、海外への資産移転に関する2つの制度を紹介します。

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バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)元代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。バンコクのコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」をJV開発後、退任し日本に帰国。現在はウクライナ・モンゴル・ラオスなどの不動産事業を手掛ける。岡山県倉敷市出身。

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