
タイの証券会社KT-ZMICO社から、2016年におけるタイ王国の経済見通しが発表されました。
2016年のタイの経済成長率は年3.2%とKT-ZMICOは見通しを発表していますが、タイに詳しい方なら、タイの経済成長率予測が当てにならないことは良くご存知でしょう。とは言え、どういう理由で経済成長を見込むのか?同社のニュースレターから紹介します。
タイの2016年戦略見通し:タイ王国は前進する
2016年予測では、政府の景気刺激策が経済成長の要因になると注目する。タイ経済の2016年予測は3.2%で経済成長すると予測しており、これは2.6%という今年成長見込みよりも高い。主な要因は以下の通り。
- 国内支出を押し上げる可能性のある大規模な2つの財政刺激策がある。政府は低所得者向け(1,360億バーツ)の新しい財政刺激策が経済を0.4%押し上げるとを期待している。さらに、中小企業向けの支援(2,060億バーツ)効果は1.94兆バーツ規模と予測する。
- 民政へ移管する総選挙は早くて2017年中頃に行われることから、軍政権による現在の政策は約2年間は変わらないと予測される。
- 公的支出を民間投資により多く注入する。政府は2016年、今年の5倍となる2500億バーツを大規模なプロジェクトに投資する計画だ。
- 観光部門は引き続き良い方向に成長。
- 世界的な需要の回復の影響で、輸出価格と農家所得双方に好影響を与え、物価のデフレリスクが限定される。並行して、商品の輸出は徐々に回復を見せる(2016年の予測は+2.8%成長)
- タイ・バーツの下落と低金利で金融緩和政策は継続される
外的要因から、ダウンサイド・リスクも起こりうる
来年の逆風は、世界の主要な中央銀行の金融政策の正常化、特に米国・連邦準備制度(FOB)の金利引き上げからくるだろう。FOBが政策金利を引き上げると、過剰流動資金を緩和しなければならない。
他のリスク要因としては、中国経済の減退があげられる。中国はほとんどの日用品の世界最大の消費国でもあることから、さらに中国経済の減退が進めば波及効果で地域やグローバル市場に影響がもたらされるかもしれない。
投資について:政府支出から恩恵を受けている部門
タイ経済における2016年予測では、政府支出がタイ経済の主な牽引役になることを期待していることから、政策が影響を与えるセクターの投資に着目している。(※下記のカッコ内はタイ株の銘柄コード)
- インフラ計画における政府の大規模な支出を背景とした、建設および建設資材(CKやSEAFCO)
- 低所得者や中小企業をターゲットとした短期的な刺激策に支持される商業部門(CPNやROBINS)
- 引き続きタイ経済の明るい材料であることが期待される観光産業(AOTやMINT)
- 銀行や不動産(BBLやQH)を含む国内消費や投資の回復から恩恵を受ける部門。
2016年にタイ政府が行う国内金融緩和政策によって影響を受ける企業へ、将来的な成長をを期待し、特に高配当の株をお勧めする。一番のお勧めは、2015予測・2016予測でそれぞれ7.4%・6.2%の配当が期待されるINTUCHやBTSだ。
SET(タイ証券取引指数)の目標値は1,570ポイント
2016年末にはSET(タイ証券取引指数)のターゲットは、1,570ポイントだ。EPS成長率の12.4%、PER15.1%をもとに、3.2%の実質国内総生産成長率に加え、タイ王国への外資の流入を前提としている。
(出所: 2015年10月 “KT-ZMICO ニュースレター” グロビジ!翻訳・要約)
KT-ZMICO社による、2016年のタイの経済見通しを読んで
いかがでしたか?KT-ZMICO社の予測では、年間3.2%の経済成長が予測されるタイ。個人的には、このニュースレターの中に投資のヒントが隠されていると感じました。
例えば、2つの財政刺激策。具体的な内容については、この(グロビジ!)でもフォローしてますが、注目すべき内容です。例えば、私の本業でもあるタイ不動産の分野でも、政府がタイ国民のための施策を準備しているところ。小さく書かれているのみですが、FOBによる利上げやバーツ安予測も見逃せません。
インフラ関連での政府の大規模な投資も同様です。ASEAN経済共同体(AEC)の発足を控えているだけでなく、アセアン域内の物流効率を活性化は、タイだけでなく域内全体のためにも必要です。レターにあったCKなどのゼネコンもいいですが、個人的には、特にTASCO(ティプコ・アスファルト)を2年前から買い続けています。
最近、バンコクの紀伊国屋書店で買った書籍、『お金は「歴史」で儲けなさい』は、日米英の金融・経済130年の歴史的データをひも解いて投資のチャンスを解説した本です。内容もさほど難しくなく、経済を学ぶのにオススメです。
※本記事は投資を勧誘するものではありません。投資の判断は、自己責任でおこなってください。
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