カンボジア不動産市場の2016年見通し 良い点・悪い点は?

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プノンペンでカンボジア不動産に関するカンファレンスが開催されました。人口約1,500万人のカンボジア、首都プノンペンの人口は約150万人。この数年でコンドミニアム法も成立しています。

カンボジアの英字新聞『プノンペンポスト』が、不動産業界の著名人を集めた会議について報道しています。実際の報道では8名がコメントを出してますが、うち4名の見通しをご紹介します。

カンボジア不動産市場のカンファレンスが開催

第1回となるReal Estate Market & Outlook Conference(REMOC2016)が4月1日金曜日、プノンペンホテルで開催された。地元カンボジアや地域の業界のリーダーが会し、カンボジア不動産市場の見通しを提供する。不動産市場の現状や今後の見通しについて、Post PropertyがREMOC2016の登壇者に聞いた。

VTrust Appraisal Co. Ltd最高経営責任者、Sim Hoy Chhoung氏

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資産評価の方法は、カンボジアで今後成長させなくてはならない分野です。すべての不動産活動の核心部分と見なすべきでしょう。顧客にサービスを提供する仲介業者や販売担当者は査定、コンセプト、営業の実施、手段についてしっかりと理解しなくてはなりません。

今後2017年にかけて市場の反発や、人気プロジェクトの開発提案書については転換が求められる可能性があります。市場の幅は狭まりつつあり、開発計画の実行にあたっては市場に関する詳細かつ実現可能性に関する調査が求められることを心得なくてはなりません。

CBREカンボジア上級副所長、Thida Ann氏

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2015年はカンボジア不動産市場にとって、多分野で活発な活動が見られ、非常に忙しい年でした。

いくつか例をあげますと、CBREによる土地価格評価は、中心街において約8.4%の上昇となりました。26の建物においてコンドミニアムが新たに7,014戸発表され、2018年までに完成・供給できる戸数は21,414戸となります。サービスアパートメントの占有率は90%と好調が続いており、供給のペースに後れを取っていない形です。

Century 21メコン最高経営責任者、Chrek Soknim氏

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コンドミニアムはもはやプノンペンにおいて新しい市場ではありません。コンドミニアムは交通渋滞や土地価格の上昇を緩和し、利便性を向上させる解決策の一つだと信じています。しかしながら2015年にはコンドミニアムが過剰供給され、市場は非常に激しい競争が続いていると同時に、購入者にとっては多くの選択肢が与えられることとなりました。

国内市場の販売可能数が販売される割合を示す吸収率は平均32.4か月ですが、ここ数カ月で減速してきています。新規の開発事業者がコンドミニアム市場に参入したい場合、単に外国市場との比較に依存するのではなく、地元の需要、住宅取得能力、傾向に関する入念な分析が必要です。

CBREカンボジア商業仲介マネージャー、James Padden氏

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住宅市場に関しては注意が必要で、コンドミニアムが真に市場を牽引するために必要な国内のオーナー・持ち主に対する強い需要がまだ見えていません。既存投資の大部分は資本成長に期待する外国投資家によるものです。市場は長期的にカンボジアの人々により牽引されると見込まれ変化していますが、明確な需要にはまだ成長していません。

中心街は土地価格高騰と土地に限りがあるため、引き続きSen SokやChroy Changvar(カンボジア日本友好橋のあるエリア ※下記地図参照)のような二次的な場所の開発が行われる傾向は続くと見込まれています。またシハヌークヴィル、バッタンバン、シェムリアップ等の地方都市でも引き続き開発と投資活動が活発に行われるでしょう。

プノンペンにあるSen SokとChroy Changvar地区

ASEAN域内の投資や、企業も国内の市場を出て地域での活動を拡大しようという動き継続して見られ、カンボジアの強い経済成長と東南アジア諸国連合(アセアン)の統合の動きにも支えられ、全体を通じて2016年のカンボジア不動産市場は活気に満ちたものとなると見込んでいます。

(出所: “ThePhnom Penh Post “Industry leaders gather for real estate market conferencead” グロビジ!翻訳・要約)

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カンボジア不動産カンファレンス発言内容まとめ

  1. 購入後の物件評価鑑定方法の向上が必要
  2. 今後、開発要件が厳格化されてくる
  3. CBREによる土地価格評価は、中心街において約8.4%の上昇(2015年)
  4. サービスアパートメントの入居率は90%と好調、供給ペースに後れを取っていない
  5. 2015年にはコンドミニアムが過剰供給され、市場は非常に激しい競争が続いている
  6. 新規開発業者がコンドミニアム市場に参入する場合、地元需要、住宅取得能力、傾向に関する入念な分析が必要
  7. 国内の強い需要がまだ見えていない。既存投資の大部分は外国投資家によるもの
  8. シハヌークヴィル、バッタンバン、シェムリアップ等の地方都市でも引き続き開発と投資活動が活発に行われる
  9. 全体を通じて2016年のカンボジア不動産市場は活気に満ちたものとなる

上記を見ると良い点・悪い点がそれぞれ挙げられています。例えば、V Trust代表の発言にある1・2などは、今後カンボジア不動産が高いレベルで取引されるために必要な内容。隣国タイでは既に厳格化された開発要件があり、中古売買の取引も徐々に増加しています。

3にある価格上昇の半面、5や6では過剰供給や需要不足という発言もあります。これは空室率、つまりインカムゲインのことでしょう。売買は海外勢やカンボジア人富裕層に支えられ比較的堅調ですが、確実にテナントが付く入居需要があるかと言われれば疑問が残ります。カンボジア不動産はどちらかと言えば、キャピタルゲイン重視の投資として割り切るべきかもしれません。

プノンペンの人口が急増 (クロマー)

一方で上の記事に紹介されてますが、人口が「この10年間で90万人から140万人以上に増加」(出所:クロマー)という情報もあります。結局はコンドミニアムを借りられる層がどの程度いるかが重要なわけですが、立地を考慮せずにカンボジア不動産へ投資をするフェーズは既に終わっているという事でしょう。貸すにしても売るにしても、不動産である以上、「立地」は重要です。

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バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)元代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。バンコクのコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」をJV開発後、退任し日本に帰国。現在はウクライナ・モンゴル・ラオスなどの不動産事業を手掛ける。岡山県倉敷市出身。

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