海外口座の多国間情報交換制度がスタート!OECD加盟国を中心に富裕層の課税強化へ

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世界各国で税徴収強化のため、自国民の預金口座残高や証券口座情報を共有する新しい時代が、今後数年以内に到来しそうです。

OECD加盟国での情報共有」と言えば、ご存知の方も多いでしょう。特に富裕層の方が昨今気にされているトピックを今日は紹介します。

世界中で金融資産情報を共有化?海外での資産隠しは困難な時代を迎える

富裕層が憂いているトピック。結論から紹介すると、OECDの全加盟国やパートナー諸国など最大世界約100か国が連携し、自国民の預金口座残高や証券口座情報を共有する予定という点です。

この(グロビジ!)でも過去に出国税や海外財産調書制度がスタートする前後で、「キャピタルフライトと呼ばれる、海外への資産移転が続いています」と紹介しましたが、今後OECD加盟国に関しては、置いている資産が開示される時代が来るという事です。

「出国税」と「海外財産調書制度」、海外への資産移転に関する2つの制度

日本経済新聞の報道においても、パナマ大統領が積極的に参加する意向との報道も出ています。

パナマのバレラ大統領は18日、都内で日本経済新聞のインタビューに応じ「2018年までに経済協力開発機構(OECD)が主導する銀行口座情報の共有の枠組みに参加する」と言明した。 (出所:日本経済新聞)

狙いは言うまでもなく、税逃れへの取り締まり強化です。様々な呼称がありますが、「海外口座の多国間情報交換制度(Automatic Exchange of Financial Account Information in Tax matters)」という呼び方が一般的でしょう。

海外口座の多国間情報交換制度は2018年頃に開始予定

このOECD加盟国やパートナー諸国を中心とした海外口座の多国間情報交換制度の開始時期は、現実的には2018年末までにスタートする見込みです。主要参加国は下記を参照ください。

OECD加盟国と主要パートナー

出所:https://www.oecd.org/tokyo/about/members.htm

2018年8月現在のOECD加盟国。さらに「主要パートナー」という位置づけでブラジル、中国、インド、インドネシア、南アフリカの5か国が参加。OECDウェブサイトによると、”これらの主要パートナーはOECDの活動に継続的かつ包括的に貢献する”こととされており、実質的に加盟国に近い動きをすると考えられます。

またwikipediaでは、下記のように書かれています。

上記の加盟申請国、関与強化国のほか、香港、中華民国(台湾) (※チャイニーズタイペイ」として参加)、シンガポールなど、多数の国や地域がオブザーバーとしてOECDの種々の機関の活動に参加している。

つまり、OECDの正式加盟国やパートナー諸国以外に関わっている国や地域も「海外口座の多国間情報交換制度」に参加する可能性も否めません。

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OECDに加盟していない非OECD諸国はどの国か?

重要な点ですが、OECDに未加盟の国はどこなのでしょうか?2018年8月現在の主要国や地域を抜粋してみましょう。

  • 香港(Hong Kong)
  • ブラジル(Brazil)
  • 中華人民共和国(China)
  • インド(India)
  • インドネシア(Indonesia)
  • ロシア(Russia)
  • シンガポール(Singapore)
  • タイ(Thailand)

一方で、先のwikipediaの文にもありましたが、香港・シンガポールなどはオブザーバーとしてOECDに協力しており、海外口座の多国間情報交換制度への参加を行う可能性は十分にあるでしょう。

なお、非OECD諸国の一覧は日本の公正取引委員会のウェブサイトに記載されています。詳しく知りたい方は参照ください。

米国・タイなど多国間情報交換制度へ参加しない国も

アメリカは外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)の存在を理由に、OECD加盟国による海外口座の多国間情報交換制度へは参加表明をしていません。同様にケイマン諸島などのオフショア(租税回避地)は、OECDに加盟していないため情報開示する理由は今のところない模様。

金融資産情報の共有化に参加しない国には、金融立国やオフショア(租税回避地)、社会主義・共産主義国が多い中、私の住むタイも非OECD諸国となっています。

http://toushin-shisan.net/2016/06/post-5044.html

なお、金融資産情報の共有化に関して「自動的に交換され得る情報、導入予定国や地域」については、上記記事を参照下さい。

租税条約締結国には徴収共助制度の存在あり

なお、OECD諸国の多国間情報交換制度とは別に、租税条約締結国間での「徴収共助制度」が存在します。税金の滞納者が租税条約の締結対象国に財産を保有する場合、相手国の税務当局に徴収要請をすることができる制度。租税条約締結国に関しては、国税庁の下記ページで確認可能です。

わが国の租税条約ネットワーク (財務省)

「海外口座の多国間情報交換制度」は著名人も注意喚起

なお、著書『秒速で1億円稼ぐ条件』で有名な与沢翼氏もブログにて詳しく書いています。OECD加盟国間での資産状況共有の詳細や個人に与える影響にについては、氏のブログが分かりやすく一読をお勧めします。

2017年末時点で海外にある財産を各政府が2018年9月までに互いに共有するそうです。

つまり、今日本にお住まいの方で、海外にシティバンクやOECD加盟国に証券口座を持っている方などは、国税庁にそれらの詳細が全てばれるということです。

既に日本では海外に5000万円以上の資産を保有する者は毎年、その内容を国税庁に報告することが義務付けられています。

これに違反して報告しないと逮捕されて懲役を受けることも規定されていますので、注意が必要です。
(出所:与沢翼公式ブログ 2018年、国が連携する)

※当記事は「海外口座の多国間情報交換制度」の概要を説明したものです。詳細につきましては、国税庁や税理士事務所等にご確認の上、ご自身で判断をお願いいたします。

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バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)元代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。バンコクのコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」をJV開発後、退任し日本に帰国。現在はウクライナ・モンゴル・ラオスなどの不動産事業を手掛ける。岡山県倉敷市出身。

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