
バンコク都内中心部の不動産価格が上昇中であると、タイの英字新聞『The Nation』が報道しました。タイ国内ではプリセールと呼ばれる「更地状態から開始される不動産販売」が他の東南アジア諸国同様に定着しています。
更地の状態ですから、ディベロッパーの信用性や完成リスクなどが伴う一方で、価格は発売期間中で最も安価に設定されます。そのため、利ザヤを取るべく転売目的での投資活動を指す「ゲンガムライ」という言葉もあるほどですが、成功や失敗談などが外国人の買い手にはなかなか見えづらいところ。
実際にタイの不動産を転売することをイメージできるでしょうか?今日は、『The Nation』紙が報道したゲンガムライの実例や、今後のタイ不動産への見通しをご紹介します。それでは行ってみましょう。
スクンビット・サトーンなどバンコク中心部の不動産価格は上向き基調
バンコク都内のスクンビット交差点(アソーク通り)
ビジネス中心街の中古コンドミニアム(マンション)に対する根強い需要のおかげで、先月Joy氏(35歳)はスクンビット 23のコンドミニアムの売却から200万バーツの利益を得た。
「コンドミニアムは2011年に1,070万バーツで購入しました。利用可能部分は109平米あり、寝室は3部屋、バスルームは2つありました。先月譲渡手数料、個人所得税、法人特別税を差し引いて正味価格1,380万バーツで売却しました」と彼女は言う。投資家でもある彼女が、中古コンドミニアムの売却から利益を得たのは今回が初めてではない。
Joy氏は2010年にコンドミニアムをはじめて同じスクンビット23に450万バーツで購入し、2012年に正味価格560万バーツで売却することができた。
「投機目的で購入したわけではありませんが、家族が増えれば引っ越しをしなければなりません。このことがきっかけとなり、コンドミニアムを購入する際は高架鉄道やショッピングセンター、病院、学校や大学といった人々の生活に役に立つ施設の近くがよいなど、注意を払うようになりました。これら施設があることで、引っ越しが必要な時には確実に売却しやすいのです」と彼女は語る。
Ayut氏(35歳)もまたスクンビットのワンベッドルームの建設中のコンドミニアムを2012年に予約し、今年初めにプロジェクトが譲渡される前に600万バーツで売却した。「私にとっては素晴らしいことです。2年しかたっていないのに、保有するコンドミニアム価格が20%も上昇したのです」と彼女は先週語った。
Pranee氏(34歳)は2010年に、ノンタンブリーのRattanathibeth通りの抵当流れのタウンハウスを70万バーツで落札し、50万バーツをかけて修繕した。今年氏はこの物件を200万バーツで販売できるという。たったの4年でなんと66%上昇したことになる。
高架鉄道に近い中古のコンドミニアムは特に人気だ、と住宅用不動産会社であるバンコクシティスマート社のPumipat Sinacharoen社長は言う。「中古の再販価格は10-20%ほど上昇しましたが、新築コンドミニアムのプロジェクトはさらに高く、20%以上上昇した価格がつけられています。このことから中古のコンドミニアムを買いたいという需要が大きくなってきているのです」と氏は語る。
先週初めに行われたThe Nationの調査によれば、スクンビット、プルンチット、サトーン、パトゥムワン、トンロー付近のコンドミニアムの中古価格は新築時に公表された価格よりも30-50%上昇している。上記のほとんどがすぐに入居することのできる物件として、2007-14年にかけて市場に出まわりはじめた物件である。
事前販売価格(プリセールプライス)が2007年に平米あたり10万2千バーツだったコンドミニアム「Address Chidlom」は、今や中古の価格は32-47%上昇し、13万5千バーツ-15万バーツである。「Park Chidlom」は100-110%上昇した価格帯で、9万5千-11万バーツから20万バーツ-22万バーツである。サトーン通り沿いのThe Metは12万8千バーツから15万3千バーツと、19%値上がりした。
事前販売価格が平米あたり10万バーツ以下のプロジェクトのコンドミニアムは、10万バーツを超えるまでに急上昇した。トンロー・ソイ10の「Alcove Thonglor」は事前販売価格8万7千バーツで購入可能であったが、現在の中古再販価格は11万5千バーツと32%上昇している。
Ratchaburana地区のラマ3の川沿いのコンドミニアム物件の中古再販価格は、チャオプラヤ川に近い物件に対する需要の高まりを受け、ここ数年で倍以上となった。過去5年間に着手された川岸のコンドミニアムの再販価格は、予約の時点の平均価格4万バーツと比較して現在平米あたり平均で9万バーツだ。
レイモンランド社による「The River」というコンドミニアムは、2007年の事前販売価格の9万バーツに対して、現在平米あたり14万バーツで販売されている。プルクサ社が開発を手掛ける「Chapter One Ratchburana」は現在平米あたり9万バーツで販売されている。これは昨年の事前販売価格の4万バーツの倍以上のレベルだ。
「川の近くで供給できる土地は限られており、チャオプラヤ川付近の住宅の価格を押し上げています。また需要も伸びており、並行して価格も上がってきています」タイコンドミニアム協会会長でもあり、プルクサ社の取締役でもあるPrasert Taedullayasatit氏は語った。再販価格は事前販売の価格よりも高いが、同じ場所に建設されている新しいプロジェクトの価格よりも低価格のため、お値打ちな住宅を探している人や投資家にとっては良い選択です」と氏は述べた。
一方、最近売り出された新しいプロジェクトのコンドミニアムは、中古のコンドミニアムよりも高い価格で販売されている。
今週初めにThe Nationにより行われた調査では、スクンビット、サトーン、ワイヤレスロード、 チットロムなど中央ビジネス街で展開される新しいプロジェクトのコンドミニアムの販売価格は平米あたり20万バーツを超える。これらは同じ立地の中古コンドミニアムの価格よりも高い価格である。
(出所: The Nation “CBD area prices on upward trajectory” グロビジ!翻訳・要約 写真は筆者挿入)
タイ不動産を買うべきタイミングとは?
パタヤで竣工直前の Unixx South Pattaya
ここ数か月連続して東京でタイ不動産セミナーを開催してますが、タイ不動産を買うタイミングとして有望なのは2つ。それは、「事前販売(プリセール)のスタート時」および「竣工直前の投げ売り物件」です。昨今はタイ国内の金融機関が不動産ローンの融資要件を厳格化したこともあり、竣工時に払うべきトランスファー(引渡し時の支払い、物件価格の50%~75%前後)を支払えないタイ人も増えています。
こうして引渡しをあきらめた方が取る行動は、既に支払い済みの頭金や分割支払金の一部を少しでも取り戻そうと、購入時価格よりも安くして売りに出すことです。当然、引渡しまでに数か月しかない期間内に売却しなければなりませんから、大きくディスカウントするのは必然です。投資家としては、こうした物件を狙っていくのが現時点では得策と言えるでしょう。パタヤでは、ルーブルが暴落したロシア人が投げ売りをしているケースもあります。
こうした物件にご興味がある方は、私が代表を務めるタイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)にて、中古の特選物件や新着物件情報をメルマガにて紹介しています。上のリンクをクリックしてお申込下さい。
- コンドミニアムを購入する際は高架鉄道やショッピングセンター、病院、学校や大学といった人々の生活に役に立つ施設の近くがよい
- 最近売り出された新しいプロジェクトのコンドミニアムは、中古のコンドミニアムよりも高い価格で販売されている
- 中古のコンドミニアムを買いたいという需要が大きくなってきている
ASEAN不動産投資の教科書: 始める前に知っておきたい15の知識
なお、バンコク・パタヤのコンドミニアム転売希望の方は、下記フォームより必要事項を明記の上、物件情報を送信ください。※エリア・物件によりお取り扱い出来ないケースもございます。
▲転売希望フォーム (ラ・アトレアジア)
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