「BTS」はバンコク都内を走る高架鉄道。バンコクで、実際に乗ったことがある方も多いはず。バンコク都市高速鉄道はこのBTSとMRT(地下鉄)が代表的。タイの所得レベルを考えると少し高いものの、年々着実に欠かせない交通機関となりつつあります。東京の山手線と言っても過言ではないでしょう。
今日はタイのバンコクを走る高架鉄道、BTS社の見通しをご紹介します。
BTSは加速成長を見込む
来年は、BTSグループ・ホールディングスにとって重要な年となる。中核事業の交通関連事業で収益成長が期待でき、広告およびサービス部門単独で資金調達できると期待される。
会長兼最高経営責任者Keeree Kanjanapas氏は、2015年はグループの主要4事業(交通・不動産・広告・サービス)にとってエキサイティングな年になるだろうと『The Nation紙』に語った。
「数年間曇っていた政治状況に好転の兆しが出てきたため、BTSグループは来年積極的な一歩を踏み出す可能性がある」と、彼は話す。同氏は、交通事業に関して、予想より工事が遅れているBTSグリーンライン(ベーリン-モーチット)を含め、主要な計画がどれも大きく進展するだろうと確信している。
最高執行責任者(COO)のSurapong Laoha-Unya氏は、バンナー-スワンナプーム国際空港を結ぶLRT(軽鉄道輸送)と、グリーンラインの延長契約をBTSグループが獲得するだろうと述べた。
BTSは、その子会社であるBangkok Mass Transit Systemを介して、現在は37kmのグリーンラインを運営中。バンコク都庁が来年、バンワー-タリンチャン(7km)の拡張路線建設の入札を開く予定で、「運営権をもし取得すれば、グリーンラインの計44キロの運営をBTSが行うことになる」と前述のKeeree氏は語った。
LRTを別にすれば、BTSの興味はグレーラインにある。第一段階ではワチャポール-エカマイ-ラミントラ-トンローを結び、第二段階でトンロー-サトーン-チョンノンシー-ラマ3世通りを結ぶ予定だ。
「大量輸送事業が予想よりも遅いペースで進んできたが、いくつかのエリアで進展があった。不動産事業については、有力デベロッパーNatural Park (N-Park)と提携し、これは正しい決断であった。」と、Keeree氏は話す。
先月、BTSは出資比率50対50の合弁会社を設立することで合意したと発表。3億バーツ規模でモノレール・地下鉄駅から500mの範囲内にコンドミニアムの開発を進めると表明した。
BTSの広告事業については、上場済み子会社であるVGI Global Mediaが屋内・屋外広告ビジネスを展開中。キーリー氏も社内の成長株だとその存在感を認める。
サービス事業では、East-InやU Hotelなどホテル運営と、ラビットカード(Suicaのような電子マネー)での収益が好調だ。ラビットカード保有者は300万人を超え、BTSで利用できるほか、2,000を超えるレストランで利用可能だ。
(出所 The Nation “BTS set for exciting times with aggressive step forward next year” 筆者翻訳・要約)
BTSは日本の「東急グループ」のように成長するか?
タイのBTS社は上記の通り、交通ビジネス(高架鉄道)のほか、広告や不動産、サービス業の4事業部門があります。タイ証券取引所(SET)へも「BTS」という銘柄コードで上場している大企業。配当利回りも5%を超え、投資先としては大変魅力的です。
▼BTS Group Holdings (English website)
日本在住の方には「東急グループ」のイメージが分かりやすいでしょう。1922年に渋沢栄一が創業した東急急行電鉄も、鉄道部門や不動産、ホテル事業を手がけています。東急は1923年から自社などが購入した分譲地を結ぶように線路を引き、後の目黒線を作って行きました。土地の評価額がどうなったか言うまでもありません。
それから、約100年が経ち、タイにはBTSという企業があります。もちろん関東大震災後の日本と違って、思い通りに線路を伸ばすわけにはいきませんが、それでも交通インフラの将来を知る、BTS社の優位性は高いでしょう。はじめてのタイ株投資には、オススメの銘柄です。
BTSグリーンラインの南側延伸部分は2017年から開業予定
BTS社の主力路線となるグリーンライン(スクンビット線)は南へ9駅、北へ20駅将来的に延伸する計画があります。バンコク隣県のサムットプラカーン県につながる南側の延伸計画は下の記事よりご覧ください。
▼BTSスクンビット線、南部の延伸部分は2017年から順次開業予定
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▼アジア・中東の鉄道網および高速道路計画。


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