アセアン経済共同体(AEC)とは何ぞや?5分で分かる関税動向や影響まとめ。

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アセアン各国のみならず、世界全域で2015年末に発足した「AEC」が注目されています。ASEAN在住者はご存知だと思いますが、雑誌やTV・新聞などでも良く取り上げられるトピック。

「AEC」は、ASEAN Economic Communityの略で、日本語では「アセアン経済共同体」と呼ばれています。まだ発足直後ですが、今後の動向をアセアン域内の各国が注目しています。「ASEAN経済共同体(AEC)」と、起こり得る変化について、ご紹介します。

ASEAN経済共同体(AEC)のブループリント(工程表)

ASEAN連結性マスタープラン

ASEAN連結性マスタープラン 出所:経済産業省

  1. 単一市場と単一生産基地(物品,サービス,投資,熟練労働者(ヒト)の移動自由化等)
  2. 競争力のある地域(競争政策,消費者保護,税制(関税),インフラ開発等)
  3. 域内格差の是正(新規加盟国支援等)
  4. グローバルな経済への統合(ASEANとパートナー国とのFTAなど)

分かりやすく言えば、「ヒト・モノ・カネの動きが自由化」すると言うこと。AEC発足前からアセアン域内では、物品やサービス、投資分野の自由化が既に進んできました。特に物品(貿易)は、1992年に始まった規約が、1998年にASEAN物品貿易協定(ATIGA)に変化し、段階的な関税引下げが始まっています。

ASEANが統合し一つの経済共同体となりました。隣国には中国(人口13.6億人)やインド(同12.4億人)、さらに海を隔てて、先進国の日本(1.3億人)やオーストラリア(2,300万人)が存在します。AFTA(ASEAN自由貿易協定)もあるため、関税などの障壁もなく、貿易がよりスムーズになることでしょう。

「AEC」はアセアン各国にどういう影響をもたらすか?

ASEAN主要国の注目点と経済への影響

主要国の注目点と経済への影響 出所:三菱UFJ投信

AECの影響を比較するには、三菱UFJ投信作成の表(上)が分かりやすいでしょう。ASEAN主要5か国(タイ,マレーシア,シンガポール,インドネシア,フィリピン)という言葉があり、中でも陸続きのタイ,マレーシア,シンガポールが特に恩恵を享受することとなります。

ASEAN地図

実現は定かではありませんが、シンガポール-昆明(中国・雲南省)鉄道が実現すれば陸送の利便性は格段に高まります。特にタイは、将来的にインド方面へも連結出来る可能性も。地政学的にもタイはASEANの中心で重要な位置を占めています。

アジア高速鉄道、1万キロの大商戦 日本と海外勢競う (日本経済新聞)

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アセアン経済共同体発足で、ヒトの流れはどうなる?

タイの入国審査を待つカンボジア人労働者

タイの入国審査を待つカンボジア人労働者

ヒトの移動に関しては、アセアン諸国の国籍を持っていれば、既に短期滞在ビザが撤廃されており、域内の移動は自由化済み(商用目的であれば、本来はビジネスビザが必要)。将来的には熟練労働者の移動を自由化する予定で、給与の高い国が有利になるなど域内格差が生まれる可能性も。

ASEAN域内で最も失業率が低いタイ(約1%前後)では、非熟練労働者が不足する事態に陥っています。国境周辺や隣国調査を兼ねて出張すると、国境周辺ではCLMV(カンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナム)からの出稼ぎ労働者がタイでの就労のために集まっています。(※タイの最低月給は周辺諸国の約2倍~3倍)

東アジア経済統合の取組 (経済産業省)
ASEAN経済共同体の前途 (みずほ総合研究所)
アセアン経済の今を知ろう! (三菱UFJ投信)

アセアン経済共同体(AEC) まとめ

  • 2015年11月に、ASEAN10か国がアセアン経済共同体(AEC)を発足宣言に調印
  • ヒト・モノ・カネの動きを自由化。関税撤廃し、より活発な貿易を促進
  • アセアン出身者の域内移動は既に短期滞在ビザ不要。熟練労働者から順に域内移動を促進
  • 競争力向上で周辺の大国へ輸出拡大、ASEAN域内のさらなる成長を目指す

アセアン経済共同体は2015年11月に調印され、予定通り発足しました。発足直後の現段階はあくまでも通過点で、今後は法整備を行いダイナミックな動きにつながっていくことでしょう。「ASEANはまだまだこれから」、今後が楽しみです。

ASEAN共同体の発足宣言に調印した際(2015年11月)の記事は下記を参照ください
ASEAN諸国がアセアン共同体の発足宣言に調印

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板野 雅由
バンコク在住、タイ不動産のラ・アトレアジア(タイランド)代表。2013年にバンコクへ移住し、不動産仲介会社設立。現在はバンコクにてコンドミニアム「168 Sukhumvit 36」を開発中、日本国内でタイ不動産セミナーも開催しています。 1981年岡山県倉敷市出身、在タイ4年目。